研究課題/領域番号 |
25550054
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
畑 光彦 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (00334756)
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研究分担者 |
古内 正美 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (70165463)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオマス / エアロゾル / 大気汚染 / 充填層フィルタ / 集じん / 薪ストーブ |
研究概要 |
本研究は,小型バイオマス燃焼炉からの環境負荷を抑制して大気環境汚染を防止するために,従来製品より粉じん負荷に強い「超低圧損フィルタ」を開発するものである。このために,基礎性能の実験的検討,ライフサイクル分析に基づく最適構造設計,模擬燃焼排ガス実験による粉じん負荷耐久性能の検討,実燃焼炉での実証試験を行う計画であった。 開発にあたってコストとメンテナンス性を重視し,繊維層フィルタより捕集効率が低いが安価で耐久性が高い充填層フィルタ技術を応用し,ドラフト気流のみで駆動するPM0.1を50%以上捕集できる超低圧力損失フィルタの可能性について検討した。 球形のガラスビーズと,非球形のステンレス粒子を使用した基礎実験から,従来のろ過理論との整合性を確認し,非球形のステンレス粒子の一部で,球形粒子より同一圧力損失での捕集効率の高い結果が得られた。また,薪ストーブの燃焼温度と排ガス流速の関係を調査し,これも従来の理論との整合性を確認した。この温度条件と捕集効率から,ポンプレス集じん装置が十分実現可能であることが確認されたため,その設計条件をもとに装置を設計した。引き続きこの装置を試作し,実証試験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
挑戦的萌芽研究として,ポンプレスを実現しうる条件を見つけることができるかどうかが,最初の大きなハードルであったが,基礎実験と理論的な裏付けから,それをクリアすることができ,提案技術の可能性を示すことができた。一方で,一年目に予定していた実機排ガスを使用した予備実験には至らなかったため,単純に当初計画と比べると,やや遅れているとも判断できるが,国内外での議論から使用するバイオマス燃焼条件の情報を広く集めることができ,単なるひとつの技術開発にとどまらず,当初想定していなかった用途への可能性も開けたため,全体としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)実用可能性の検討と課題の抽出:得られた設計に従ってポンプレス集じん装置を製作し,木質ペレットストーブと薪ストーブのダクトに取り付けてリスク低減効果を検証する実証試験(バイオマス燃料費を申請)を行い,リスク低減性能と実用上の可能性・課題を検討する。 (2)コスト・環境負荷・性能分析に基づくポンプレス集じん装置の最適構造設計:上記基礎実験で測定したベースフィルタの圧力損失と捕集性能,孔の大きさと流出量,孔での捕集効率をまとめ,気流の流通状態と粒子の捕集特性の関係を明らかにする。得られる環境リスク削減性能を分析し,費用対効果を検討する。 (3)研究総括と報告書作成:2年間の検討結果を踏まえ,得られた成果と発生した課題を総括し,次の段階として発生源に合わせた実際の製品開発に向けた課題を検討する。
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