水などの極性溶媒中では微粒子の表面に電気二重層が形成され、安定な分散状態をとりやすい。水中微粒子の除去方法としては、強制濾過や凝集剤の添加などがあるが、これらの方法では除去速度の向上と環境負荷への配慮を同時に行うことは難しく、根本的な解決方法が求められている。本研究者は水中の固体微粒子の沈降速度が電場印加によって飛躍的に増加することをこれまでに明らかにしている(「電場沈降効果」と名付けた)。 平成25年度では、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)およびベントナイトなど5種類以上の微粒子のそれぞれの水分散液において電場沈降効果を調査した。水分散液に与える電界強度が大きいほど、また微粒子の体積分率が大きいほど電場沈降効果が大きくなることが分かった。また交流電場においては低周波数領域でのみ電場沈降効果が観測された。 平成26年度では、ベントナイト微粒子の水分散液を対象として流動場での電場沈降効果を調査した。微粒子の体積分率を0.000164に調整した。流動セルを作製した。これはセルの内部にステンレス板を電極として平行に設置し、シリコンチューブを用いてペリスタポンプを結合し、閉空間にしたものである。電界強度0.3 V/mmDC以上において、流動条件によらず電場沈降効果が観測された。流速が小さいほど効果が大きくなることが分かった。 平成27年度では、セル中での流動の経路の違いが電場沈降効果に及ぼす影響について調査した。セルの上部から分散液を流入させてセルの反対側の上部から流出させる場合(ケース1)、下部から流出させる場合(ケース2)、セルの下部から流入させてセルの反対側の上部から流出させる場合(ケース3)について総合的に調査した結果、沈殿中の微粒子が再度循環しないこと、また沈殿したものが流動で撹拌されないことが重要であることが判明した。
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