研究課題/領域番号 |
25550062
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗栖 太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312979)
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研究分担者 |
春日 郁朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20431794)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 誘電泳動 / 土壌微生物 |
研究概要 |
まずはじめに、誘電泳動装置を現有の顕微鏡に設置するために必要な検討から行った。装置の開発業者と打合せながら、現有の顕微鏡に合った対物レンズを選定し、システムをセットアップした。続いて、大腸菌を用いて装置の運転と改良を行った。誘電泳動装置の電極部分以外の容積を最小限にするよう、送液ラインの調整を行った。また、ペリスタルティックポンプを用いて試験したところ、脈流により捕捉された菌体が剥離する現象が認められた。そこで、一定流速で送液できるシリンジポンプに変更することで、菌体が剥離しないようにすることができた。 大腸菌を引き続き用い、誘電泳動による細菌細胞の捕捉条件の検討を行った。誘電泳動条件として、流速、電圧幅、周波数を変動させた。供試試料、および通液条件ごとに採取した試料の菌数をフローサイトメーターで測定し、細菌数の収支を定量的に評価することで、細菌細胞の捕捉率、および回収率が高いものを選定した。その結果、流速は遅ければ遅いほどよいということ、電圧幅20Vppがよいことが分かった。また、周波数については、100kHz~1MHzまではあまり回収量に差が出ないこと、それ以上では回収量が減少すること、などがわかった。もっとも捕捉率の高い条件でも、通液した菌数の数%以下しか捕捉されていなかった。供試大腸菌濃度を下げることにより捕捉率を上げることは可能と考えられるものの、100%に近づけることは困難である可能性が示された。したがって、本研究の目的を考えれば、捕捉率で評価するよりも、回収量で評価したほうがよいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
誘電泳動装置の導入が遅れたことから、誘電泳動試験自体の検討開始が遅れ、当初交付申請書に記載した内容からはやや遅れている。ただし、実際に誘電泳動により菌体が捕捉できることは確認できたことから、来年度以降の研究に向けての準備は十分にできたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は引き続き細菌細胞を強く捕捉し、回収するための条件を検討するとともに、土壌粒子と細菌細胞との分離について実施してゆく予定である。このために短期間技術補佐員を雇用し、研究進捗を促進させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度実施予定であった実験内容の一部が未完に終わっているため、その分の所要額が翌年度に繰り越されることとなっている。 本年度実施予定であった実験内容を実施するために使用する。さらに、遅れを取り戻すために、技術補佐員を雇用することで使用する。
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