研究実績の概要 |
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂は生活に欠かせないプラスチック材料であり,その需要は増大する傾向にある.持続的な資源循環型社会を構築するためには,効率的なケミカルリサイクル技術と新しい樹脂への変換技術によるアップグレードリサイクル法の開発が急務である.上記した問題を解決する環境技術として,回収PET樹脂と芳香族ジアミンとのエステルーアミド交換反応を液相中で行い,生成したアラミドオリゴマーの結晶化と結晶内固相重合を利用してより付加価値の高いアラミドであるポリ(1,4-フェニレンテレフタルアミド)(PPTA)を調製する新しいエコ調製法を開発した.そこで平成26年度は,エコ調製法の更なる進化と拡大を目指して,アラミドの形態制御法の開発,ならびに,ポリ [2,2’- (1,4-フェニレン) - 5,5‘ -ビベンズイミダゾール] (PBI)の調製を検討した. (1)PPTAの形態制御 PETのエステル結合に対してアミノ基が過剰となるようにジアミンを仕込むことで板状の形態を有するPPTA結晶が得られた.ジアミンを仕込んだ後にさらにPETを逐次添加したポリマーの調製を行ったところ.長さが約3.7 m,幅が約160 nmのファイバー状結晶が得られた. (2)ポリベンズイミダゾール(PBI)の調製 PETとDABを用いてPBIの調製を行った.濃度5%, 重合温度350oCで6時間重合すると,ηinh = 0.30 dL/g (硫酸中30oC,濃度0.2 g/dL)の析出物が得られた.析出物の形態は,板状結晶の積層体が多く観察された.得られた析出物は高い結晶性を有していた.IR測定の結果,完全に脱水閉環が進行していないことが分かった.析出物を400oCで3時間熱処理を行ったところ,PBIを得ることができた.
|