研究実績の概要 |
SiO2に担持した遷移金属酸化物(Mn, Fe, Co, Ni, Cu酸化物)のベンゼンとシクロヘキサンのオゾン酸化触媒反応を行い、各成分の触媒特性について比較検討した。触媒は含浸法により調製し、600℃で焼成したものを用いた。表面上の遷移金属をギ酸の吸着-昇温脱離反応により定量し、ターンオーバー数を比較したところ、Mnは最も高いベンゼン酸化活性を示した。in-situ FTIR、反応後の触媒の昇温脱離プロファイルにより、ベンゼン酸化反応中における触媒表面上の変化を追跡し、いずれの遷移金属においても芳香環の開裂が速やかに起こるものの、Fe,Ni,Cuを触媒活性成分とした際には中間生成物が直ちに蓄積し、ベンゼン酸化活性が低下すること、Mn,Coを用いると中間生成物が酸化分解されることにより定常活性を示すことが明らかとなった。 シクロヘキサンのオゾン酸化触媒反応ではカルボン酸類などの中間生成物が生成するが、Mn酸化物では、中間生成物の蓄積量が他の金属種に比べて多いにもかかわらず他の金属種よりもTOFがはるかに高いこと、Fe、Co、Ni、Cuでは比較的少量の炭素析出により反応が著しく抑制されることがわかった。50, 90oCにおいてもシクロヘキサンのオゾン酸化分解の結果、Mn酸化物がCo酸化物よりも高活性を示し、この温度範囲ではより高温であるほど活性が高くなることがわかった。 各種金属酸化物触媒を用いてシクロヘキサン-ベンゼン混合系のオゾン酸化分解反応を行った。シクロヘキサン単独基質の場合と同様にMn酸化物が最も高い活性を示しており、炭化水素の酸化分解反応に有効であることがわかった。Mn酸化物はベンゼンよりもシクロヘキサンに高い酸化活性を示し、Co酸化物はベンゼン酸化活性に比較的高い活性を示しており、金属種によって基質に対する反応性が異なることがわかった。
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