研究課題/領域番号 |
25550077
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小林 剛 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (60293172)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土壌汚染未然防止 / 土壌汚染可能性 / 曝露シナリオ / リスクスクリーニング / 化学物質管理 |
研究概要 |
1.多様な曝露経路を想定した土壌汚染評価尺度の提案 「汚染物質の曝露経路の整理と土壌中挙動を表す主要物性値の選定」のため、①各種リスク評価書、②リスク評価ツール、③汚染事例、④社会問題となった事象から、土壌の汚染経路や土壌汚染由来の多様な曝露経路を網羅的に抽出・整理した。「土壌中での媒体間移行や土壌中挙動を特徴的に表す物性値」として、環境中動態予測等に用いられている推算式を参考に、吸着や気化、拡散、水への溶解、分解等、環境中挙動を特徴的に表せる代表的なパラメータを感度解析により選定することができた。「多様な曝露経路毎のリスクスコアリング方法と総合評価尺度の検討」のため、抽出された土壌中挙動を表すパラメータに関して、土壌中挙動の起こり易さをスコアリングする手法の考え方を検討した。媒体間の移行に関しては、移行量がオーダーで変化するようにスコアリングすることとした。 2.各種化学物質の土壌汚染リスク・挙動・用途情報等の体系的整理・データベース化 「対象物質の絞り込みと物性等調査項目の明確化」のために、化管法PRTR対象462物質について、収集情報を用いて優先物質を選定し、有害性、土壌環境中動態パラメータ、用途(取り扱い形態)情報等を収集、整理した。主要な物性として水溶解度、沸点、蒸気圧、ヘンリー定数、Pow、さらに、生分解性及び生物濃縮係数BCF、取扱量や用途情報についての情報を調査し、75%程度の物質についてデータベースをまとめることが出来た。土壌環境中での動態関わるパラメータを用いて、物性値等から土壌汚染物質のグルーピングを行う考え方を検討した。 「土壌中での水の浸透うや気化拡散に伴う移動の測定」のために、土壌中での水の浸透に伴う移動、気化拡散に伴う移動を測定する測定装置を試作し、要懸念物質としてテトラクロロエチレンや1,4-ジオキサンについて、土壌中での移動の測定を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度ではあるが、これまで十分に検討されていない土壌汚染経路である、気相経由での沈着による土壌汚染の可能性について検討し、投稿論文として発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
1.多様な曝露経路の想定した土壌汚染評価尺度の提案 「土壌汚染後の多様な曝露経路毎のリスクスコアリング方法の妥当性確認・改善とツールの作成」前年度に引き続き、手法の検討・改善を行うとともに、地下水・土壌汚染可能性スクリーニングツールのExcelによるプログラミングを行う。汎用的なMicrosoft社ExcelのVisual Basic等を用いて、必要な情報を入力すれば、評価尺度が他の環境基準設定物質と比較する形で、曝露経路毎に表示されるワークシートを作成する。 2.各種化学物質の土壌汚染リスク・挙動・用途情報等の体系的整理・データベース化 得られた情報はデータベース化して、解析情報を学術論文等で発表するとともに、インターネットを活用して、利用しやすい形で社会に発信する。また、土壌への吸着特性(平衡および速度)に関わるパラメータに関する国内外及び自身の知見を集積する。また、前年度に引き続き、平衡および移動速度に関わるパラメータを調査・集積する。 3.土壌環境基準設定物質との比較による指標の意義の検証/汚染事例調査 未規制物質と土壌環境基準設定物質の土壌汚染可能性を評価・比較して、尺度の意義を検証する。土壌汚染評価尺度が“高懸念”と判定された未規制物質については、環境省のエコ調査結果の活用して地下水・土壌中での汚染状況を確認する。また、地下水及び土壌汚染の調査結果から、いくつかの未規制物質による汚染事例が現実にあることを確認し、本研究の有用性を実証する。環境基準未設定の要懸念物質については、自主管理基準設定の考え方についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究室の移転が決まったため、実験研究よりも調査研究の割合が多くなったため、次年度使用額が想定よりもやや多めに生じた。 次年度の実験研究部分の割合が多くなるため、全体の研究計画どおりの予算執行が見込まれる。
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