研究課題/領域番号 |
25550079
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
馬場 賢治 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (30400013)
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研究分担者 |
萩原 克郎 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50295896)
能田 淳 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (70551670)
星野 仏方 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (80438366)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アジアダスト / バイオエアロゾル / 雲物理 |
研究概要 |
本研究は、アジアダスト(黄砂)発生起源域におけるウィルスがアジアダストに付着したウィルスなどの生物起源物質が大気場輸送中に保存される環境場について、つまり、アジアダストが凝結核となり、雲水、氷晶、雪などに変遷する雲物理過程を気象モデルやリモートセンシングデータから明らかにし、時空間的な拡散の変遷や多寡を理解することである。 平成25年度は、4月下旬から5月上旬に、アジアダストの発生源であるモンゴルのチョイルとサインシャンドにて、また、移流先の観測点として札幌と福岡において、バイオエアロゾル捕集を行った。残念ながら、この期間に大規模な黄砂発生は起こらなかったが、黄砂発生が生じない背景場として解析を進めている。このため、本研究の予備調査にあたる平成24年度の学内競争資金によって行われた2012年4月から5月のサンプルを用いて解析を進めた。この時の背景場として、モンゴルゴビにおいては、低気圧の前面にあたり強い南風の場であり、現地にて黄砂の発生が目視観測された。後方流跡線解析を雲解像モデルCReSSにより行うと、札幌に移流する大気場はモンゴルゴビ付近からの流入であることが確認でき、およそ1日程度で流入していることが見積られた。反対にモンゴルゴビ起源の前方流跡線解析を行っても、1日程度で北海道付近に到達することが確認できた。この時間差を基にモンゴルゴビで観測されたエアロゾル内の生物由来物質と札幌にて観測された生物由来物質を比較すると、モンゴルゴビ起源の生物由来物質のマッチングが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、アジアダスト(黄砂)発生が必要な条件となるが、平成25年度の観測期間には、黄砂が発生しなかったため、サンプルを取得することはできなかった。このため、観測データによる検証作業なども併せて、遂行することができなかった。但し、黄砂が発生していない場合の背景場データとして利用するために解析を進めている。 気象モデルに関しては、当初の予定通り、導入を進めている。また、人工衛星データに関しては、当初案に無かったCALIPSO(Cloud-Aerosol Lidar and Infrared Pathfinder Satellite Observations)を用いたデータ処理を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、当初の研究計画に準じて、アジアダストに付着した生物起源物質が保存されている大気場をリモートセンシングデータ、気象モデル、及び観測から精査し、雲や降水の凝結核となるアジアダストの環境場、つまり、雲物理過程・変遷を理解することで、アジアダストに含まれるバイオエアロゾル輸送過程を理解するための新しい方法を開発する。今後は、日本各地にサンプル捕集地点を増やし、アジアダスト発生時のバイオエアロゾルを観測し、データを増やすことにある。また、同時にそれらの大気場の解析、同定などを進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めるにあたり、節約を心掛けたので、予定額を下回りました。 次年度は、当初の予定通りになるように支出を考える予定である。
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