2011年にWRI/WBCSDが実施ガイダンスを発行したSCOPE3と呼ばれる温室効果ガス排出量の算定が、日本だけでなく世界中の大企業に注目されている。これに対応するために、日本の環境省と経済産業省も2012年3月にScope3のガイドラインを発表している。従来から測定されている事業者自身が排出する直接排出量(SCOPE1)、及び他者から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴って排出される間接排出量(SCOPE2)に加え、原材料の調達、輸送、使用、廃棄等の事業活動より排出される間接排出量(SCOPE3)を測定する試みである。 SCOPE3は今まで企業で行われており、学校法人で実施は見られない。そこで、本研究では、工学院大学が現在把握している会計の支出データと環境負荷に関するデータを用いて、工学院大学のSCOPE3を計算した。 その結果、工学院大学全体のCO2排出量は1.61E+04tであり、その内訳は、SCOPE1;1.19E+02t、SCOPE2;7.13E+03t、SCOPE3; 8.81E+03tとなった。SCOPE3のCO2排出量が全体の約55%を占めている。 工学院大学のSCOPE3の排出量はWRI/WBCSDが示す15カテゴリ中の7カテゴリに分類された。カテゴリ別に見ると、カテゴリ1(購入した製品・サービス)が54%と一番多く、次いで、カテゴリ5(事業から出る廃棄物)が25%、カテゴリ2(資本財)が10%、カテゴリ6(出張)が6%などとなっている。
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