研究課題/領域番号 |
25560009
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 産業技術大学院大学 |
研究代表者 |
橋本 洋志 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (60208460)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動的プロダクトデザイン論 / 器用な操作 / ディジタルハンド / ソフトスキン |
研究概要 |
人間の手が,固定されていない道具を器用に動的操作をするとき(ハサミの片手持ち替え,ペン回しなど),動的に操作しやすいプロダクトデザイン(形状、機構、材質などを含む)の在り方と手姿勢の遷移状態,この二つの相互関係を考究する.本研究の目的は,この相互関係の特徴を明らかにして,器用で動的操作がしやすい動的プロダクトデザイン論を見出すことである.このため,今年度は開発したADP (Augmented Digital-hand with Physics-engine)の活用,接触面の局所パラメータ表現や手動作の状態遷移の記号表現による解析アプローチなど,これらを融合して相互関係を明らかにする研究を実施した.具体的には、手の解剖学的機能と物体形状との相関性を見るために適するデジタルハンドの把握姿勢と器用な手操作、および、物体形状との関係性を見る実験を行った.例えば、物体との接触面において剛体皮膚とソフト皮膚との違いを見るために、高速度カメラによる観察を実施し、ソフト皮膚の変形と物体の形状とがうまく整合すると、器用な操作の成功につながることがわかった. さらに、手の器用な操作は、機器の操作において、操作時のメンタル性、認識性と相互に関係することがわかった. 次年度では、これらのメカニズムを明らかにして、この成果をプロダクトデザイン論に活用できるようにする研究を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的は、器用で動的操作がしやすい動的プロダクトデザイン論を見出すことであり、この点で幾つかの観測実験を通して、その事例を見出したことが理由となる.具体的には、申請書では、三つの実施項目を挙げていた.すなわち、A)デジタルハンドの設計パラメータ選定の指針、B)手動作の状態遷移と動的安定性の相互関係の解明、C)動的プロダクトデザイン論の展開、である.このうち、B)についてケーススタディになるが、幾つかの計測機器を用いて手操作と物体形状との相互関係性、さらに手操作と機器の器用な操作に関する相互関係性を見出し、これをC)のデザイン論に展開できる目途を立てたことにある.
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記述した実施項目、A)デジタルハンドの設計パラメータ選定の指針、B)手動作の状態遷移と動的安定性の相互関係の解明、C)動的プロダクトデザイン論の展開、のうち、今年度は、B)を引き続き実施するとして、A)に重心を置いた研究を実施する.このため、幾つかのハンドモデルを開発し、シミュレーションと実際の手操作の観測実験を照合しながら、パラメータ選定の指針を見出す.この成果とB)の知見を融合し、C)のプロダクトデザイン論を構築する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
約24000円生じた理由は、旅費や消耗品費などが正確に事前見積もりできなかったためである. 今年度に繰り越して、直接経費として、適正かつ有効に活用する.
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