ロボットに新しい価値の開拓が求められる時代になっている。本研究では、それが何であるのかを明らかにすることが先決と考え、その第一歩として、既存のロボットでも、おもちゃでもない、日常生活に溶け込むロボットの開発を行っている。この実現の鍵は、身体性を活かして身の回りのモノを再定義することと、その存在を邪魔にさせない、くせになる機能で、ロボットをいらなくならないようにすることである。昨年度に引き続き、本年度も、以下のようなロボットの研究開発を行った。 まず、情報端末に身体性を付与して、コミュニティを円滑にし、毎日を愉しくするロボットとして、ライフログロボット「きろぴー」を開発した。ライフログでは、従来より、スマートフォンなどの情報端末を日常的に持ち歩き、記録したログを他の人に紹介するインタラクションが行われてきた。このようなコミュニケーションツールとしての端末に、人のコミュニケーション・インタラクションの本質である身体性を付与することで、ログ閲覧時にも、楽しさや、もう一度使いたいという感覚が得られることを明らかにした。 また、大切に持ち運びたくなるロボットに関しては、「自分ロボット」の開発展開を行った。昨年度、ロボットを介したコミュニケーションにおいて感情移入をしやすくするインタフェースとして提案したが、さらに、Skype等と併用して遠隔コミュニケーションを円滑にする手段としての応用展開を進めた。
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