研究課題/領域番号 |
25560016
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
杉浦 康平 神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 名誉教授 (00226432)
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研究分担者 |
山之内 誠 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (40330493)
今村 文彦 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (50213244)
黄 國賓 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (50441382)
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
佐久間 華 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 助手 (00589202)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アジアンデザイン / アジアの山車 / 舟形山車 / アジアの図像 |
研究概要 |
本年度の主な成果は、2013年5月25日(土)に本学で行った国際シンポジウム「送る舟・飾る船 鳥と龍が支えるアジアの舟山車」が挙げられる。本シンポジウムでは、「アジアのかたちとデザイン」を念頭におき、アジア各地で仏像を乗せ、神を招き、魂を運ぶ「舟形の山車」のデザインに着目し、ミャンマー・タイ・日本における山車の事例紹介を行った。本シンポジウムは以下のような構成となっている。第1部は、本シンポジウムの序章としての位置づけで、「バリ島:王家の葬儀に曳きだされる山車」と「イラン:アシュラ祭の生命樹の山車」の記録映像を上映した。第2部では、「黄金の霊鳥キャラウェイを飾る仏像巡行船のデザインと象徴性」と題したミャンマーの舟形の山車の事例紹介があり、第3部では、タイの舟型山車の事例紹介「チャクプラ(仏像巡行祭)に曳きだれる、龍船パレードのデザインと象徴性」、「タイの伝統文化にみる「鳥」と「蛇」のシンボリズム」の発表に加えてタイのスラタニのチャクプラ祭の記録映像の上映が行われた。第4部では、日本の山型山車の一例として「舟山車さまざま + 長野の「オフネ」のデザインと象徴性」と題した発表があり、第5部では、招聘した4名の発表者と代表の杉浦を含む本学教員3名によるディスカッションが行われた。 本シンポジウムを通じて、ミャンマー・タイ・日本・イラン・インドネシア各国に伝えられてきたさまざまな山車や神輿の形態・構造・象徴性と祭礼における役割について考察を行い、それぞれが示す造形的・神話学的・仏教宇宙的な意味合いについて論じ合うことができた。現在、本シンポジウムの報告集・教材作成に着手しており、2年目は引き続き、まとめの作業を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進展している理由としては、本研究助成のメインのイベントである上記の国際シンポジウムを無事開催することができたということがあげられる。本シンポジウムでは、日本国内はもとより海外から研究者を招へいし、日本・タイ・ミャンマーの舟形山車についての事例を一挙に紹介することができた。また、アジアンデザイン研究所で継続的に行っている研究でもあるインドネシア・イランの山車の貴重な映像を上映することもできた。 本シンポジウムの報告書については、国際的なイベントということもあり、発表資料は英語・日本語になる。これらをまとめるのには時間を要するが、5月25日という早い段階でシンポジウム開催の目的を達成したことで、報告書・教材作成の時間を予定より長く確保することができたことから対応に少し余裕ができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定としては、引き続き上記の国際シンポジウムの報告書・教材の作成を行う。本報告書では、当日の発表では触れることのできなかった山車の詳細についてや、より明確な解説を加えるなどして一冊の教材として成立するものに仕上げる。現在、各発表者の原稿の編集・校正作業が7割程度完了している。この作業を進めると同時に画像の編集や必要に応じて原稿を翻訳する。最終的には、アジアンデザインの図像の観点からアジアの舟型山車の事例を紹介する本に仕上げることを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
報告書・教材の着手が早期に繰り上げられたため、25年度に必要となる経費を前倒しを請求したが、資料の翻訳、編集作業などの作業が現在進行中であり、当初予定していた支払い時期を変更したため。 本年度は、本シンポジウムの報告書・教材作成を行い、必要に応じてそれに伴う費用を使用する予定である。
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