研究課題/領域番号 |
25560018
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研究機関 | 京都嵯峨芸術大学短期大学部 |
研究代表者 |
坂田 岳彦 京都嵯峨芸術大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70225796)
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研究分担者 |
真板 昭夫 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (80340537)
山本 直樹 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 准教授 (50368073)
岩崎 陽子 京都嵯峨芸術大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70424992)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 味覚と嗅覚 / アート / コミュニケーション / ユニバーサルデザイン |
研究実績の概要 |
本研究では嗅覚と味覚による共同体の結びつきの在り方を解明し、香りと味による新たな空間デザインの可能性を探る。嗅覚と味覚は、人間にとって根源的感覚であり、共同体の結びつきに重要な役割を果たしていると考えられる。現代社会において、人が集まる場所・集まりたくなる場所にはどのように嗅覚・味覚が関わっているかを調査によって抽出・分析する。またそれに加えて、こうした考察を元に新しい人間の結びつきの在り方を可能にするような仕掛けや提言を、「香りと味による空間デザイン」として提示したい。特にユニバーサルデザインの方法を用い、従来デザインやアートの現場で抜け落ちてきた嗅覚と味覚を使って、それらの潜在的な可能性を事例研究によって掘り起こす。またこれを基礎データとして体系化し、今後の有効な活用法として提示することを目指す。 平成26年度は前年度に実施した大学近隣の特養ホームの聞き取り調査を踏まえ、香りとアート、デザインの具体的なアウトプットに向けた基礎的研究と実際の作品制作を多数実施した。その中でも主だった研究活動として以下の5点を特に挙げる。 1:京都市営地下鉄主催「駅ナカアート2014・2015」プロジェクトにて香りアート制作(山本・岩﨑) 2:フランスのパリ第一大学のKODOプロジェクトにおける学会発表(岩崎) 3. イタリア、フランスへの香り文化とアート・技術視察のために海外調査実施(山本・岩崎) 4. 特養ホームにおける「匂いによるユニバーサルデザイン」の作品制作(坂田・山本・岩崎) 5. 2015年3月~5月に開催された京都国際現代芸術祭PARASOPHIAにあわせて開催するPerfume Art Project「パリ・ボザール学生との香りアート交流」実施(山本・岩崎)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国内での香りアート、デザインがほとんど皆無の状況の中で暗中模索をしている際、2014年5月、フランスのパリ第一大学で開催された「嗅覚創造学会」にて、世界の嗅覚科学者、哲学者、嗅覚アーティストたちと知り合うことができ、多くの知見を得ることができた。彼らのアドバイスや助けを得ながら、その後、当該研究は世界的な広がりを持ち、基礎調査のためにイタリア、フランス南部で多くの香り文化の知見を得て、香り文化に関わる多くの人脈と繋がることとなった。またこの成果と人脈を生かして帰国後すぐに、特養ホーム健光園における「匂いによるユニバーサルデザイン」の作品制作に着手し(現在も継続中)、また2015年3月~5月に開催された京都国際現代芸術祭PARASOPHIAにあわせてPerfume Art Project「パリ・ボザール学生との香りアート交流」を実施するなど、研究・制作は飛躍的な発展を遂げることができた。またその成果を精力的に学会発表や論文発表、作品展覧会などで提示することができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は当該研究の最終年度に当たっているが、昨年度に急速に発展・展開してきている研究状況を、今後は「香りと味のユニバーサルデザイン、アート」として一旦総括していく必要性がある。 したがって、当年は主にこれまでの成果を学会発表で提示し、また論文としてまとめる作業に入る。また健光園における香りのアート制作も継続、完成させ、香りのユニバーサルデザイン理論を最終的に構築することを目指す。
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