27年度は、生活機能リスク予防プログラムを完成することを目的に、地域在住高齢者14名に対し、6ヶ月間の追跡調査を実施した。調査項目は、毎日の活動日記、実質歩数、筋力、30秒椅子立ち上がりテスト、足指把持力、歩行因子、閉じこもり予防・支援のための二次アセスメント票、基本チェックリスト、MFES、GDS、転倒リスク評価表、SF-8、閉じこもりの有無とパターンとし、対象をA団地在住の8名(団地群:75±6歳)と、健康に関心があり研究代表者の所属する教育機関に模擬患者として参加している6名(SP群:72±5歳)の2群に分け比較検討した。1日平均実質歩数は、SP群が7186歩と団地群の3670歩に比べ約2倍多く、筋力もSP群が96.83 Nmと団地群の69.88Nmに比べ強かった。歩行速度の低下を感じた方はSP群ではいなかったが、団地群で半数存在した。歩行因子計測結果から、定常歩行では団地群が79.23m/minで、SP群の77.45m/minと比べ速かったが、速足での歩行速度では団地群が99.71m/minで、 SP群の103.55m/minと比べ遅かったことが要因と考えられる。また、「5種類以上の服薬」は団地群で、「段差がある」「階段の使用」はSP群で多く答えていた。毎日の活動日記から調べた活動種類数では、SP群が月平均15項目で、団地群の9項目と比べ多岐にわたっていた。近くへのショッピングでは、SP群が月平均3回で、団地群の13回に比べ少なかった。近医への受診回数も、SP群が月平均0.8回で、団地群の3.5回に比べ少なかった。以上より、模擬患者は、健康に関する意識の強さが活動範囲や種類を拡大し、結果歩数や速足での歩行速度が大きくなり、団地在住の高齢者は活動範囲を拡げず近場でルーティンな活動を行っていたと考えられた。
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