本研究では、S応急仮設住宅(福島県いわき市)の集会所にて、継続して月1回の頻度で交流イベントを開催し、応急仮設住宅に住まう住民の交流促進に努めた。併せて、継続して交流イベントにて参与観察によりデータを収集した。また、阪神淡路大震災、中越地震など被災地でのフィールド調査を実施した。以上から、東日本大震災で特に多い借り上げ住宅、みなし仮設で生活する住民への支援についても、近接する集会所は「重要な場」であるということが明らかになった。26年度には、子ども参画にもとづく自立的な復興コミュニティづくりのあり方を追求するため、東北子どもまちづくりサミットでの情報収集、高校生カフェ(石巻市)の現地調査、高校生へのアンケート調査、高校生まちづくり交流報告会などを実施した。上記の結果、まちづくりに積極的な子どもたちであっても、まちづくり参画のためのきっかけづくり、継続的な大人のサポートを必要としており、活動の持続可能性のために不可欠であることが明らかになった。加えて、協働プラットフォームづくりと子どもの復興まちづくり参画の効果検証のため、宇都宮市及びいわき市内のNPO法人等との交流ワークショップ、復興まちづくり関係者等が参画する総括シンポジウム等を開催した。その結果、今後の復興まちづくりにおいては、被災地の経済的自立の重要性、加えて総括シンポジウムのような多様な主体が自由に意見交換できる場の必要性が強く指摘された。最終年度である平成27年度は、関連する学会などに出席しさらなる情報収集に努めるとともに、平成25年度、26年度の研究成果をとりまとめた研究報告書を作成した。また、研究成果のエッセンスを抽出しまとめたブックレット(『私たちが、復興まちづくりで、できること。』を作成・印刷した。ブックレットについては今後の普及活動で活用する予定である。
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