研究課題/領域番号 |
25560026
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 名誉教授 (50095907)
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研究分担者 |
深沢 太香子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90423574)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 防護服 / 暑熱負担 / 湿性熱抵抗 / 代謝量 |
研究概要 |
平成25年10月4日、5日に、韓国ソウル国立大学生活科学部衣類学科で開催された防護服に関する国際シンポジウムで、ソウル大学のJoo-Young Lee教授、英国ラフバラ-大学 Ken Parsons教授、千葉工業大学の若林斉教授と、防護服着用に伴う暑熱負担の増加に関する検討を行った。さらに、その成果は、済州島で開催された、ISO(国際標準化機構)/TC159(人間工学)/SC5(環境人間工学)/WG1(温熱環境)のセッションでも継続された。特に、ISO7243 Ergonomics of the thermal environment - Assessment of heat stress using the WBGT (wet bulb globe temperature ) index「暑熱環境-WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレス評価」では、この問題に関する活発な議論がなされた。本規格は、労働環境において作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を簡便に行うことができ、また速やかな判断を可能にする方法を与える。WBGT指標は、自然湿球温度(tnw)と黒球温度(tg)の2つのパラメ-タの測定をし、そして乾球温度(ta)の測定も行う。屋内もしくは屋外で太陽照射のない場合: WBGT=0.7tnw+0.3tg、 屋外で太陽照射のある場合:WBGT=0.7tnw+0.2tg+0.1ta。基準値は、直腸温が38℃以上にならないように配慮して作成されたものである。作業強度は安静から極高代謝率までの4段階に区分され、各々に基準値が示され、さらに暑熱環境に順化した作業者と未順化の作業者に分けて基準値がある。議論のなかで、特に防護服を着用した際の暑熱負担増を考慮した「衣服係数」についてのまとめが必要であることが確認された。具体的には、防護服の湿性熱抵抗から「衣服係数」を決定する方法を詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外の専門家との研究打ち合わせにより、WBGT補正のための「衣服係数」の重要性が確認され、各研究者の実験知見の集積が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
防護服着用時の暑熱負担に関する研究事例をさらに収集し、海外の研究者からも情報を集める。防護服については、不足する被験者実験を追加する。各種防護服の熱抵抗(Clo値)や蒸発熱抵抗の資料を収集し、不足するものについてはマネキン実験を行う。最終的に、相当数の各種防護服を着用した際の、暑熱ストレスを推定し、WBGT指標による許容基準に補正すべき補正値を決定する。その際、防護服の湿性熱抵抗から、WBGT補正のための「衣服係数」を求める式を提案したい。
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