研究課題/領域番号 |
25560028
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
橋本 典久 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90295957)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 騒音トラブル / 裁判資料調査 / 解決システム / 事例集出版 |
研究概要 |
騒音問題に代表される近隣トラブルを対象として、その社会的な防止対策を検討する目的から、トラブルの経緯や当事者の心理などの詳細が記録・保存されている裁判記録(訴状、準備書面、証拠書類、判決書きなど)を調査し、実際に発生した事例の原因、経過、および結果の詳細を明らかにする研究である。 初年度(平成25年度)は、判例検索システムや新聞記事検索システムなどを用いて調査事例を抽出し、全国の地方裁判所に出向いて抽出事案の裁判記録の閲覧作業を行った。裁判記録は膨大で、厚さにして30cm程度になるものもあるが、当事者以外の複写は不可のため、現地で閲覧作業を行って内容を把握・記憶し、必要に応じてメモを取り、研究室に戻ってその内容を報告書として再現するという作業であり、多大な労力を要するものである。また、出向いた地域では出来るだけトラブルの現場を実地検証し、時には、当事者の意見や感想なども聴取して、可能な限り詳細で正確な資料収集に努めている。今年度は、調査事例を更に追加するとともに、それらを取りまとめた事例集を書籍出版し、関係各所への配布を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は事例調査とその個別とりまとめが目標であり、ほぼ順調に進展している。騒音訴訟事例7件、騒音事件2件、その他2件の11件の調査を終了しており、その各事案の個別報告書を作成中である。騒音種別では、集合住宅での床衝撃音、学校や公園での子どもの声、空調室外機やボイラーなどの機械騒音などが含まれており、1つの事案でも相当量の資料となるため、全体的には、これまでに無い多岐に亘る近隣トラブルの総合資料となるものと考えられる。平成26年度では、更なる事例調査の追加を行って事案の種類と内容を充実させるとともに、それらの総合的な分析作業を行い、書籍にまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、事例収集を終了した後、事例集の書籍作成作業に着手する。事例集は2部構成の予定であり、第1部は各事例の詳細経緯をまとめた事例集であり、第2部は騒音トラブル事例の分析編である。分析編では、収集した事例を発生原因毎に幾つかのパターンに類型化し、トラブルの初期対応やエスカレートの経緯等の分析から、トラブル発生の原因分析や当事者相互の対応の良否、どうすればトラブルにならなかった可能性があるか、あるいはエスカレートを防げたかを、当事者の心理分析や社会システムの評価などを中心に検証する。これらの分析結果をもとに、騒音トラブル防止のための条例等の制定や、社会的解決システムの構築の必要性を検討し、今後の社会的方策立案と社会啓蒙のための具体的内容と方向性を提示してゆく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査物件が予想よりやや少なかったため、それに伴う調査費用等が少なくなった。 調査結果の事例報告集のページ数が予想より多くなる見込みであり、その印刷出版費用で相殺できる見込みである。
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