研究課題/領域番号 |
25560042
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
岡留 博司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 上席研究員 (10353963)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 米粉 / マイクロ / ナノ / 粉砕 |
研究実績の概要 |
湿式メディアミルで作製した平均粒径がサブミクロンの米粉と乾式粉砕したマイクロスケール米粉の特性比較を行った。原料にはコシヒカリの精白米を用いた。乾式粉砕ではハンマーミルを用いてスクリーン径を変えながら平均粒径90~110μm程度のマイクロスケール米粉を作製した。ジェットミルではさらに細かい5~10μm程度の米粉を作製した。湿式メディアミルを用いた粉砕では、ジェットミルで粉砕した米粉に水を加えて10%濃度のスラリーを作製して連続粉砕を行った。具体的には粉砕メディアに直径0.3mmのジルコニアを用いて、米粉スラリーを冷却しながら24時間連続粉砕した後に急速凍結して凍結試料の粗粉砕を行った。さらに粗砕物を凍結乾燥して乾物の米粉粉体を作製し、平均粒径600nm程度のサブミクロン米粉を得ることができた。なお、米粉の粒度は湿式のレーザ回折式粒子径分布測定装置を用いて米粉と水の懸濁液に超音波を照射し計測したが、サブミクロン米粉の場合には凝集しやすいため、予め超音波ホモジナイザーで分散させて計測を行った。最終的に平均粒径が異なる4種類のマイクロスケール米粉と1種類のサブミクロン米粉の溶解性、吸水性や損傷澱粉等の分析と特性の相違解析を行った。米粉の溶解度と吸水性は平均粒径の減少とともに増加傾向を示し、サブミクロン米粉が最も高くなることが明らかとなった。またサブミクロン米粉は損傷澱粉の割合も最も高く、マイクロスケール米粉とは全く異なる特性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノスケール米粉の加工適性について一定の知見が得られ、年度内に海外の学術雑誌(Cereal chem.)へ投稿できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2011年に米国穀物化学会の学術雑誌「Cereal Chemistry」に掲載になった米粉の微粉砕に関する我々の論文が2015年5月現在でもダウンロード回数が上位5位以内にランクインしており、米の微粉砕研究が注目されつつある。このため、今後は知的財産の権利確保も含めて研究を進めて参りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
25年度下半期に実験棟の改修工事が実施され完成したものの、26年度に湿式メディアミルの移設に時間(特殊電源の設置確保等)を要し、ナノスケール米粉の作製開始が遅れたため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のナノスケール米粉の作製と成分分析等の費用に当てることとする。
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