研究課題
挑戦的萌芽研究
小腸における組織学的特性の解析を目的とし、具体的には以下の実験を遂行した。野生型(WT)とSkn-1 KO(S-KO)マウスにおける味覚関連分子群の発現解析:身体組織全般のSkn-1発現を、味蕾・小腸(十二指腸、空調、回腸)・胃・膵臓等の組織を用いてRT-PCRを実施して発現組織をスクリーニングした。Skn-1, PLCbeta2,gustducin(Ggust),TRPM5のin situ hybridizationあるいは抗体染色を実施した。さらにDCLK1(brush cellマーカー), GLP-1(L細胞に存在)、ChgA(enteroendocrine cellマーカー)なども加えてdouble染色を行い、S-KOマウスにおいて消失する細胞の特定からSkn-1発現細胞を突き止めた。Skn-1KOマウスの表現系の解析:S-KOマウスにAIN-93G食を与え(アドリブ)、摂食量ならびに体重増加量を一生(生後直後~18ヶ月)に亘って測定した。その結果、S-KOマウスとコントロールマウスの摂食量には有意差は見られないが、S-KOマウスの体重は有意に低下することが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
平成25年は2つの成果が得られた。① 甘・旨・苦味の味覚受容体発現細胞が消失したS-KOマウスでは、消化管のblush cellも消失することを見い出した。胃や小腸におけるblush cellの役割については不明であり、S-KOマウスを用いることで、消化管 blush cellの機能解明の可能性が得られた。② S-KOマウスは野生型と同様の摂食量であるにもかかわらず、有意に低体重を示し、エネルギー代謝に変化があることが推定された。以上のことから、エネルギー代謝制御とblush cellの関連性は興味深い。
小腸甘味受容細胞の機能解析に着目した実験を以下の通り計画している。1. WTおよびS-KOマウスを用いた耐糖能(OGTT)の解析:12~20週令のマウスにグルコースをゾンデで胃内投与し、経時的(0~120分)に血中グルコース濃度を測定する。また、その際のインスリン濃度(IPGTT)についても測定する。この結果から、腸管甘味受容細胞がグルコースセンサーの機能を担っていることを実証する。2. 甘味受容細胞におけるグルコース受容に関わる分子を探索:これは平成25年度計画2から見出された候補分子をHEK細胞に導入し、グルコースによる細胞内カルシウム上昇を測定する。また、G-タンパク質や効果器分子の特定を行う。3. 食物摂取に伴う甘味受容細胞のエネルギー代謝全般に及ぼす機能の解析:ハイカロリー食(高糖含量食および高脂肪食)を摂取させた際のエネルギー代謝を総括的に観察するために、WTおよびS-KOマウス肝臓のDNAマイクロアレイ解析を行う。4. ヒトの味覚伝達経路についてWGA標識メダカを用いて、トレースすることにより解析する。
計画の一部の実験を行い、平成26年度に、さらに研究(実験)を継続するため。試薬類(34万円)、人件費(130万円)の使用に残額(164万円)を支出する計画である。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 11件) 図書 (2件)
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