AKTやp38MAPKは代表的なセリン・スレオニンキナーゼであるため、細胞における遺伝子発現に影響を与えうる刺激要因の同定とAKTやp38MAPKの下流で誘導されるmRNAの発現調節に関する研究を行った。実験動物を用いて血中のサイトカイン量の解析や食餌成分との関連を、誘導させたRNA干渉との相関関係の観点から検討した。さらに、それぞれの分子のリン酸化動態を解析した。ポリフェノールやビタミンDなどの転写因子リガンド刺激もしくは抑制によって核内で起動する遺伝子調節系を利用した解析も行った。種々の食成分によってAKTやp38MAPKの活性化がどのように変化するのかを、ラットの骨髄初代培養系や培養細胞系において検討した結果、TobやRANKLやTNFなどのサイトカイン産生との関わりを解析した。RNA干渉を分子機能解析に応用し、AKTやp38MAPKなどの遺伝子発現においても同様に解析を進めた。また、Dアミノ酸や植物ポリフェノール類の刺激などによってAKT/PTENを含む細胞内シグナル伝達系がどのように変化するのかを検討した。そして、誘導される遺伝子産物についてウエスタンブロッティングを用いて解析し生活習慣病との関わりを議論した。本研究成果を踏まえて関連する疾患の効果的な食事のデザインを考案し、骨疾患や肝臓疾患など種々の疾患の治療や予防へと結びつける考察を総説論文として発表している。
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