研究課題
肥満・糖尿、腎不全や肝疾患などの生活習慣病においては腸管機能を考慮した栄養治療法の開発が重要と考えられる。しかしながら、疾患時の腸管消化吸収機能および栄養素の腸管感受性の変動に関する詳細は不明である。これまでに我々は、腎不全時のミネラル代謝異常を栄養生化学的に解析し、腸管トランスポーター遺伝子の栄養素代謝への関与について研究してきた。本研究では、腸管トランスポーターを分子標的とした疾患特異的な保健機能食品(特定保健用食品)の開発基盤の確立を目的とした。これまでに、腎不全時の腸管変動遺伝子の網羅的解析、疾患特異的な栄養素センサー遺伝子群の同定、腸管トランスポーターの制御機構の解明を進めた。腎不全状態での鉄トランスポーターを含む腸管鉄吸収関連遺伝子の低下が、腎性貧血の増悪に寄与している可能性があること、また、腎不全モデル動物における高リン血症の予防(リン制限食)は、鉄トランスポーターの遺伝子発現の回復を誘導し鉄代謝を正常化させることを見出した。さらに、糖尿病モデル動物においては、インスリン作用の欠如によりビタミンD代謝異常が生じ、その原因として腎臓におけるビタミンD代謝酵素遺伝子のRNAおよびタンパク発現の変動が関与していることを見出した。
3: やや遅れている
人的確保が難しいかったためにやや遅れている。
27年度は、引き続き腸管トランスポーターを考慮した保健機能食品の開発戦略として候補となった栄養素材食品や薬剤、ホルモンなどは腎不全モデル動物を用いて治療の有効性や安全性について評価する。また、動物投与試験により栄養因子や薬剤の腸管応答性を腸管遺伝子データベースとの比較により検討し、生化学検査データと合わせて治療効果の評価を行う。
研究環境のセットアップや必要試料の入手に時間がかかり、さらに人的確保が難しかったために、次年度使用額が生じた。
次年度の使用計画として、徳島大学と福井大学との連携により本研究課題の遂行を推進する。平成27年度は、引き続き腸管トランスポーターを考慮した保健機能食品の開発戦略として候補となった栄養素材食品や薬剤、ホルモンなどは腎不全モデル動物を用いて治療の有効性や安全性について評価する。また、動物投与試験により栄養因子や薬剤の腸管応答性を腸管遺伝子データベースとの比較により検討し、生化学検査データと合わせて治療効果の評価を行う。
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Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
巻: 55(1) ページ: 15-25.
10.3164/jcbn.14-11.