研究課題
腸内細菌叢が様々な生体調節機能の中心的役割を担っていることが明らかになりつつあり、加齢やストレス、食習慣による腸内細菌叢の変化が、肥満や糖尿病などの生活習慣病の発症に強く関連する低レベルの持続的な炎症誘導の引き金となることが報告されている。本研究では、腸管内の揮発性有機化合物(volatile organic compounds, VOCs)による生活習慣病の病態制御の解明を目的として、headspace sampler-GC-MS(HSS-GC-MS)を用いた生活習慣病モデル動物の糞便に含まれるVOCsの網羅的分析を行い、病態に依存して有意な変動を示すVOCsの探索・同定・炎症誘導活性を検討した。生活習慣病モデルKK-Ayマウスおよび対照のC57BL/6Jマウスに、高脂肪食、および通常食を摂取させ(計4群)、特餌開始1週より採取した糞便をHSS-GC-MSに供し、MSイオンピークを抽出後、EI-MSスペクトル解析による化合物の構造予測と、市販の解析ソフトウェアを用いた主成分分析を行ったところ、食餌およびマウス系統に依存した明確な主成分軸分離を示し、マウス系統に相関する第1主成分軸分離に最も強く寄与する分子として、acetoneを同定した。同様に食餌内容と相関する第2主成分軸分離に強く寄与する分子の一つとしてnonanalを同定し、マウス系統と食餌の有意な相互作用(二元配置分散分析)を示す分子としてphenolを同定した。さらに同定したVOCsの起炎症活性については、マウスマクロファージ様RAW264細胞における炎症性サイトカインの遺伝子発現誘導活性を指標に評価したところ、acetone、nonanal、phenolは、炎症性サイトカインの一つであるTNF-αの有意な発現誘導活性を示した。
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