研究課題/領域番号 |
25560064
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
新藤 一敏 日本女子大学, 家政学部, 教授 (80350180)
|
研究分担者 |
三沢 典彦 石川県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30393466)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | イソフラボンアグリコン / α―グルコシダーゼ阻害 / エストロジェンレセプター結合能 / P450 |
研究概要 |
日本女子大:本年度は抗男性ホルモン様作用を示したイソフラボン配糖体2種及びイソフラボン配糖体のアグリコン4種(アピオスをβ―グルコシダーゼ処理して調製。腸から吸収されると予想される化合物)を各5 mg程度ずつ単離精製することから研究を開始した。次にLNCaP-CR, DU145の2種の前立腺癌細胞に対するアンドロジェンの増殖促進作用が、これらの化合物によってキャンセルされるかをin vitro細胞増殖試験を用いて検討した。その結果、いずれの化合物もアンドロジェンの増殖促進作用をキャンセルしないことが明らかとなった。 そこで、単離した上記計6化合物について、①α―グルコシダーゼ阻害作用、②エストロジェンレセプター、アンドロジェンレセプターへの結合能を検討した。その結果、アグリコンのうちのいくつかが、ゲニステインよりは弱いもののα―グルコシダーゼ阻害作用を有すること(糖尿病改善作用が期待できる)、エストロジェンレセプターへの結合能を有することを新たに見出した。現在ヒト乳癌細胞MCF-7を用いて、エストロジェンレセプター結合作用がアゴニスト作用であるのか、アンタゴニスト作用であるかを検討中である。 石川県立大:日本女子大での実験結果を受けて、当初予定していたアピオスのin vivo前立腺癌モデルでの評価は中止することとした。そこで本年度は、ゲニステインのB環2'位にOH基を導入するP450遺伝子のクローニングを集中して実施中である。(来年度はこの遺伝子を大腸菌に導入してフラボノイドの生変換実験を実施予定)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費申請時点では、観察されたイソフラボン配糖体の抗男性ホルモン作用に注目して、in vivoマウス前立腺癌モデルでの有効性検討が本研究の主目的であった。しかし本年度抗男性ホルモン作用をin vitroで検討したところ、アンドロジェンによる細胞増殖促進作用のキャンセルは認められなかったため、大きく方針を切り替え、抗男性ホルモン作用以外の生理作用について検討を実施し、新たな生理活性(糖尿病改善、女性ホルモン様作用)を見出すに至っている。 一方でイソフラボンアグリコンで観察される化学構造からその存在が確実であるイソフラボンB環の2'位に水酸基を導入するP450遺伝子のクローニングについては当初の予定通りのスケジュールで進行している(候補遺伝子配列を取得中)。
|
今後の研究の推進方策 |
日本女子大:イソフラボンアグリコンに見出された新たな生理活性(α―グルコシダーゼ阻害作用(糖尿病改善)、女性ホルモン様作用)についてさらなる検討を実施し、アピオスの薬理作用を明らかにしていく。 石川県立大:イソフラボンB環の2'位に水酸基を導入するP450遺伝子の単離・同定を完了し、これを大腸菌に組み込んで機能発現させる。本組換え大腸菌を用いていくつかのフラボノイドの生変換実験を実施し、新規フラボノイドを取得する。
|