研究課題/領域番号 |
25560068
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
芦田 実 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30125166)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 実験・観察 / 高校の化学教育 / 色素増感太陽電池 / グルコース型燃料電池 / 教材開発 |
研究概要 |
本研究の目的は,色素増感太陽電池とグルコース型燃料電池の化学教材を開発し,実用化することである.新学習指導要領では,身近なものを活用して理解を促すために指導内容と日常生活や社会との関連が重視された.さらに世界的な資源問題や大震災により,エネルギー教育が転換期を迎え,新エネルギー・環境教育用の教材が求められている.今までにも新エネルギー教材を高校現場に取り入れる試みがあったが,教材としてはまだ到底完成していない.また教員の世代交代と受験の影響による実験離れが進み,授業・実験のスキルが若い高校教員に引き継がれ難くなっている. 色素増感太陽電池の性能を向上させ,新学習指導要領に対応した教材を試作した.電池性能は市販の作製キットの数倍に達し,同じ色素を用いた他の研究用の報告に匹敵する程になった.酸化チタン微粉末の焼結方法,色素の溶媒や吸着時間,対極の炭素触媒層の作製方法等を工夫して,作製時間を市販キットの1/4~1/2に短縮し,授業時間内の30分で作製できる様になった.増感色素には安価に市販されている紫キャベツ粉末(アントシアニン系色素)を用い,その他の材料も身近にあって安価で安全性に優れた物を用いて,市販キットの1/10~1/4の価格で作製できた. 従来の水平式グルコース型燃料電池を垂直型中空式に改良し,教材(実験キット)を試作した.従来の水平型燃料電池は,生成物の滞留や蓄積が起きたり,セルを全体的に密着させることが難しい等の問題が多く,短い時間しか稼働しなかった.使い捨ての点滴パック等を利用して垂直型中空式に改良したことで,燃料と空気の供給および生成物の排出を数時間一定に調節でき,電池特性を容易に測定できたり,教材用として活用できるようになった.また,触媒のパラジウムのメッキ方法やグルコースの濃度等についても検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
色素増感太陽電池を授業時間内に作製して電池性能を確認できるようになり,高校において教育実践も行ったため.また,グルコース型燃料電池をさらに改良し,数時間安定に動作して電池性能も容易に測定できるようになり,高校で生徒実験も行ったため.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に開発・改良した色素増感太陽電池とグルコース型燃料電池の最終的な耐久試験を行い,作製方法・指導方法等をまとめて指導書を作成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
前倒し支払請求額に少し余裕を持たせ,さらに物品費の消耗品を節約したため. 少額なので,翌年度分と合わせて,実験器具・化学薬品等の消耗品(物品費)に使用する.
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