研究課題/領域番号 |
25560069
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
冨岡 寛顕 埼玉大学, 教育学部, 教授 (50212072)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 蛋白質 / 構造変化 / 色素蛋白質 / 可視化 / 教材化 |
研究概要 |
生命体において重要な役割を担う蛋白質がその機能を果たすときにはその形(構造)を変化させる。多くの蛋白質は無色であり、且つその構造変化は極めて速いため肉眼で見ることはできない。この構造変化を肉眼で見えるようにすること(可視化)を可能にする教材の作製が本研究の目的である。それ自身が色を持ち構造変化に伴い色を変える光感受性の蛋白質を材料として、その構造変化を遅くすることができれば、高価な装置なしに広く用いることのできる教材となり得る。研究対象としては、光感受性の色素蛋白質で、光を吸収しても分解せず、安定性の高い細菌型ロドプシンの中からバクテリオロドプシン(bR)を最初に選び、遺伝子操作を用いて特定のアミノ酸残基を別なアミノ酸残基に置換した変異蛋白質を作製するというアプローチを取ることとした。変異蛋白質を得るためには蛋白質の発現系が必要である。現在までには元来bRを持っていた高度好塩菌による発現系と大腸菌を用いるものの2つが知られている。種々検討の結果、高度好塩菌の発現系を用いることとした。その系を用いることによって、発現させた変異蛋白質の精製が遠心分離だけで簡単に行えるようになり、教材化においては大きな長所となりうる。変異蛋白質の中の一種がpH依存的に構造変化を遅くすることが解ってきた。構造変化速度のpH依存性の詳細な測定を行わなければ確実なことは言えないが、有力な候補蛋白質が得られ、初年度としては順調な滑り出しである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究遂行上で最も大事な点は条件に適うアミノ酸置換変異蛋白質を得るところである。研究初年度にpH依存的に構造変化が遅くなる変異蛋白質を得られたので順調に進んでいると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
pH依存的に構造変化が遅くなる変異蛋白質を用いてその性質を安定性、取り扱い易さ等の点について調べる。教材とするためには安価に多量に試料を得る必要もあるため、そういう観点からの検討も同時に行う。安定で目的に適うものだということとなれば実際に授業で用いる形での試料提供法などの検討も行う。
|