研究課題/領域番号 |
25560074
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
木村 哲也 長岡技術科学大学, その他の研究科, 准教授 (70273802)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | システム安全 / 国際安全規格 / サービスロボット / リスクアセスメント / モデル化 / ロバスト設計 / 技術者教育 / ロボコン |
研究概要 |
安全技術と安全マネジメントを規格・法令に基づき統合的効果的に運用し最高の安全を達成する概念は、システム安全と呼ばれている。システム安全を適切に適用することで事故の未然防止が可能になり、想定外の事故を無くす事が可能となる。しかし個別分野で発達してきたシステム安全を統一的に教授する手法はこれまで存在しない。本申請では、ロバスト制御系設計の手法を基盤に、安全設計をその設計・評価手順も考慮した「ことづくり」としてモデル化を試み、分野に依存しない統一的なシステム安全の教授法の開発を行う。ここでは特に、不確実性と多様性が他分野より多く安全設計が困難なサービスロボット分野を例にとり、開発教授手法の有効性を検証する。研究は「(1)システム安全の統一的設計モデルの開発」とその検証のための「(2)サービスロボットリスクアセスメント教育手法の開発」に大別して実施した。当該年度に得られた正解の概要は以下のとおりである。(1)システム安全の統一的設計モデルの開発:リスクとベネフィットのバランスをとることは、安全設計の基本であるが、両者の関係はその結果だけで評価されることが多かった。ここでは、リスク構造を可視化するFault Tree法をベネフィット構造の解析に適用し、リスクとベネフィットのバランスをその構造も含めて考慮する事を水中探査ロボットを例に試みた。また、法的判断の基礎となる法理等、統一的設計モデル開発に関する基礎的知見を収集した。 (2)サービスロボットリスクアセスメント教育手法の開発:レスキューロボットコンテストに協力を依頼し、コンテスト参加の学生と実行委員に対して安全設計に関するアンケート調査を行った(回収率74%184部)。アンケートの結果、安全設計に関する基礎的理解が課題として明らかになり、既存のリスクアセスメントに関する知識を簡易に教授する教材作成を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)システム安全の統一的設計モデルの開発:本研究ではサービスロボットのフィールド試験のデータも参照しており、関連する情報が多岐にわたっている。このため、個別分野での情報の収集・分析に時間がとられ、統一的なモデル化が進んでいない。 (2)サービスロボットリスクアセスメント教育手法の開発:リスクアセスメント教材開発は既存規格に対する教材は概ね完成し、またサービスロボット安全規格の基本的な説明教材は他プロジェクトと連携して概ね完成している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)システム安全の統一的設計モデルの開発:収集した個別分野の情報をもとに、統一的モデル化を進める。ベネフィットをイノベーションにまで拡張して、ベネフィットの側面からもより統一したモデルとすることを試みる。 (2)サービスロボットリスクアセスメント教育手法の開発:既に開発した個々の教材を、今後得られる統一的モデルを基盤に統合して、短期間で効率的にリスクアセスメントが学習できる教材を開発する。得られた教材を実際に利用することで、開発モデルの妥当性を間接的に検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請予算を用いてロボットの改良を実施したが、改良作業に遅延が生じ年度内に全予算が執行できなかった。 改良作業内容は明らかになっており、改良遅延分の予算は速やか使用可能である。
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