研究実績の概要 |
原子力発電所の事故により今まで予想していなかった被害を含む問題が起きている。本研究はそれらの問題を含む放射性物質の環境へのリスクを理解し、特に一般廃棄物に焦点を当て、なぜ処理が進まないのか等を学生と共に学ぶ教育ツールの開発を目的とした。具体的には、福島第一原子力発電所事故の影響による放射性物質を含む廃棄物処理における環境リスク評価の教育ツールの開発を目的とした。 廃棄物関係ガイドラインによると, 8,000 Bq/kg以下の放射能濃度の廃棄物は通常の廃棄物として管理型処分場で通常通りの処分を行うとされている。しかし, 現状では市町村によりその対応はまちまちで8,000 Bq/kg以下の放射能濃度の廃棄物でさえも最終処分場周辺の住民からの理解が得られずに一時保管状態となっている地域がある.震災から既に3年以上経過しているが埋立処分できずに保管される焼却残渣は増加の一途をたどっており,埋立処理に住民からの理解が得られない理由の1つに放射線に対する不安が挙げられる. 本研究では初年度は放射線の環境リスク評価の解析方法および教育方法の資料分析を行い、具体的な教育項目及び実践案を作成し講義、実習として実践した。次年度は、学生からのフィードバックを基にさらにカリキュラムを改良し、それらを基に低レベル放射性物質リスク理解のための電子デバイスを用いたツールの開発を行った。作成したカリキュラムに開発したツールを組み込んだ講義及び実習の教育実践を行った。実践後のアンケート調査から、アジア各国からの留学生と日本人で、それぞれの国の放射性物質を含む廃棄物処理などの環境リスク理解のための教育ツールとして有効であることが示唆された。また、実験教材として利用可能な環境実試料の検討を行った。
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