研究課題/領域番号 |
25560088
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
札野 順 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (90229089)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 工学教育 / 技術者倫理 / ポジティブ心理学 / 主観的幸福度 / Good Work |
研究概要 |
なぜ、技術者は倫理的であらねばならないのか。なぜ、技術者は、特別の責任を負うのか。この問いに対して、伝統的な責任論や義務論を越えて、心理学的根拠に基づいた「新」功利主義的(技術者個人の「幸せ」と公衆の「幸せ」を最大にする)な解を提供することが本研究の目的である。 初年度である平成25年度は、2度の海外調査を実施し、主に最新のポジティブ心理学(以下PP)の知見と手法に関する情報収集・整理と研究推進のためのネットワーク作りを行った。平成25年6月には「幸せ」に関する科学的研究を推進するPPの世界大会であるThe Third World Congress on Positive Psychologyに参加し、well-beingを高めるための教育方法などを中心に調査を行った。特に、学校全体でwell-being 教育を実践しているSt. Peter’s College(オーストラリア)及び州全体で同様の取り組みを行っている南オーストラリア州に関する情報を得た。また、クレアモント大学院大学のJ. Nakamura博士と意見交換を行い、同氏およびM. Csikszentmihalyi教授の協力を得ることができることになった。 また、平成26年2月には、アデレードで開催されたPPに関する一連のイベントに参加し、M. Seligman教授(ペンシルバニア大学)及び同教授の下で研究を進めているM. Kern博士、J. Eichstaedt氏と面談し、本課題に関する意見交換を行った。Kern氏からは、同氏が開発した主観的幸福度調査ツールPERMA Profilersを日本語化し、本課題で使用する許可を得た。同州Well-being and Resilience Instituteの初代所長であるG. Kelly氏と本課題に関する意見交換を行うとともに、協力を得ることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
著しい勢いで進展を続けるポジティブ心理学の最新の成果を収集・整理すること、及び人的なネットワークの構築に注力した。特に、平成25年6月に参加した国際学会において、豪州南オーストラリア州政府及び同州のSt. Peter's Collegeにおける具体的な取り組みについての知り、本課題との密接な関連性に気づいたため、必要な情報の収集に努めた。 このため、当初予定していた技術者に対するアンケートやインタビューが平成25年度中に実施できなかったため、研究はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ペンシルバニア大学が開発し、米国をはじめ中国・マレーシアなどで使用してきたPERMA Profilersを基にしたアンケートを作成し、国内の技術者を対象とした調査を行うことにより、国際比較が可能な形でデータを整理する。また、1)PERMA Profilers、 2) ペンシルバニア大学が開発した他のツール、及び3) Good Work Projectのツールを活用して、技術者に対するインタビューの質問項目を立案する。 南オーストラリア州政府のWell-being and Resilience Instituteと連携を取りながら、同州が発行した報告書(Building the State of Wellbeing)を参考にしながら本課題を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた国内におけるインタビューを実施しなかったため、国内旅費やテープ起こしの費用などが発生しなかった。 また、インタビューを実施するための機器等を購入しなかった。 平成25年度に計画していたインタビューを平成26年度に実施する。また、インタビューに必要な機材を購入する。さらに、インタビュー記録のテープ起こしなどを行う。
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