本研究は①教育器材の製作、②教育実践法の構築、③教育実践と普及活動の3本の柱で構成される。平成26年度の研究実績として①では、独自の発想のもとに、誰もが知っているコーヒー空き缶、注射針、防災保温シート、ライターガスなどを用いてGM計数管の製作に成功するとともに、この計数管専用の、高圧電源と計数回路を内蔵して乾電池によって動く計装装置を製作することができた。また平成25年度に基礎研究を行った乾燥昆布18種の自然放射能線源材料としての評価を論文化(RADIOISOTOPES)した。 ②では、平成25年度に基礎研究を行った放射線計数の統計変動を理解するための実習法を論文化(RADIOISOTOPES)するとともに、研究所に見学にきた高校生を対象に、自然放射能線源を用いて実践経験を積み上げながら、シーベルトやベクレルの単位に関する教育スライドと実習教材の改良を進めた。また一般に言われている乾燥昆布のカリウム含有量2000Bq/kgの本当の意味を考察し、「乾燥昆布の含有量は、購入した商品によって3程度異なるが、平均値は約2000Bq/kgである」と説明するのが正しいことを、ポスターで発表した(平成26年度年次大会) ③では、本研究で改良したスライドを用いて名古屋市内の大学における放射線教育で放射線単位の説明を含んだ講演で実践するほか、鹿児島大学のお招きを受けて、同大学の放射線教育担当教官および技官の方々を対象に、「放射線教育実践例紹介(4月18日)」と題して、自然放射能線源を用いたこれまでの研究の経緯と放射線業務従事者を対象にした放射線教育法の講演と実演を行った。また核化学夏の学校の依頼を受けて「人、場所を選ばない自然放射能線源の開発と放射線教育への応用 (8月28日)」と題する講演のほか、国内会議や国際会議で発表するなどして、自然放射能線源を用いた放射線教育の普及活動を行った。
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