授業をビデオカメラで撮影することで多面的な要素を客観的に記録できる映像記録に、教師の注視点という要素を加え、授業の映像記録に授業実施者の主観的な要素を記録可能な映像記録システムを開発してきている。熟練教師と初任者教師や教育実習生など経験差による注視点の差異を比較分析する手法を開発し、授業実践能力と教師の注視点との関連性について明らかにしていく。 授業者の注視点の記録のためのアイトラッキングカメラのほか、主に授業者の教授行動をとらえるために教室後方に1台、子どもの様子をとらえるために教室斜め前方に広角レンズを装備したビデオカメラを1台せっち設置した他に、ティームティーチング(以下TTとする)のT2の視野映像を記録するためにT2にウェアラブルカメラを装着してもらった。こうして得られた映像の時間軸をあわせて4画面を合成し、さらに画面上にタイムコードを挿入した映像を編集し、これを分析のための基礎資料とした。 2014年9月9日に名古屋市立橘小学校において田中真人教諭(授業実施クラス副担任、教職1年目、昨年度伊福小学校学生ボランティアとして実施した授業を撮影)の算数の授業を、9月10日、12日には津島市立津島南小学校において学生ボランティアによるTTの授業を、9月11日にはあま市立伊福小学校において、衛藤義隆教頭(教頭2年目、教職歴29年)と権田三希子教諭(授業実施クラスの6年生担任、教職歴15年)のTTの授業を収録した。特に、初任者教師の授業実践能力の獲得例として、田中教諭の昨年と教職1年目の映像記録を比較分析を行った。 さらに授業者の視野および注視点の映像含んだ映像記録を、教職課程履修生に視聴させたところ、映像記録を授業者の視点から見ることができるようになり、授業スキルの重要性を理解することにつながった。 今後は教師の注視点と意思決定の関連について更に詳しく分析を行っていきたい。
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