研究課題/領域番号 |
25560112
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
野村 由司彦 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00228371)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ユーザインタフェース / 教育工学 / 知能機械 / 認知科学 / 教示 / 学習 / 力学的インタフェース / 動作軌跡 |
研究実績の概要 |
(1)二つの教示法,すなわち3軸牽引運筆教示と水平/鉛直分割運筆教示について比較検討した.なお,水平方向,鉛直方向,および,押し込み力を評価対象の物理量とし,これらについて熟練者との間で求めた類似度(相関係数)で評価した.いずれの評価対象の物理量においても,得られた相関係数は二つの教示方式の間で有意差は見られなかった.その理由として以下を考察した. (ア)水平方向に関しては,いずれの教示方式においても,引力を用いていることから,有意差が現れなかったと考えられる. (イ)押し込み力はいずれの教示方式においても相関は低かった.特に,水平/鉛直分割運筆教示では,押し込み力の知覚へと学習者の意識を十分に向けさせられなかったこと,あるいは今回の0~1.5Nの提示力は,学習者がよく知覚できなかったことなどが考えられる.改善方策としては,第1段階で水平面内の運筆動作を教示し,第2段階で鉛直方向の運筆動作を教示する方式などが考えられる. (2)水平/鉛直分割運筆教示では,押し込み力が十分に教示できなかったにもかかわらず,鉛直方向でも,3軸牽引運筆教示と同等に熟練者に対して高い相関が得られた.このことは,押込み力が分からなくとも押込み量が決定できたことを示唆している.つまり,入り,止め,払い,跳ねなど,書道の基本技法において,水平面内の各線画が知覚できれば,押込みもある程度推測できることを示唆している.逆に,力覚の提示の効果を明らかにするためには,規範動作として,書道の基本技法とは異なる動作を交える必要があると考えられる. (3)経過時間を説明変数にとる一般的な相関係数は,経路長を取った今回の相関係数に比べ,劣った結果となった.このことは,「学習者は,文字の形と線の太さの変化を重視する一方で,動きの遅速を熟練者に合わせようとはしない」という仮説の傍証になると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水平/鉛直分割運筆教示方式を実装し,実際に運筆教示実験も行い,改善のポイントを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
第1段階で水平面内の運筆動作を教示し,第2段階で鉛直方向の運筆動作を教示する方式について検討する. 規範動作として,書道の基本技法とは異なる動作を交える. 動作の説明変数として,経過時間をとる方式,および経路長を取る方式について検討を深める.
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な物品の中で残金に見合うものがなかったため,次年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算に合算することで,相応の金額の物品(電子機器)を購入する.
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