研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究では、大学教育のアクセシビリティの担保に必要となるICT(AICT)を活用した教育支援方法の確立とともに、AICTを活用した情報支援・教育支援の実効的・実用的なアクセシブルデザイン(AD)を提案することを目的とする。本研究では、これからの情報支援・教育支援のADに不可欠なICTとして「音声認識技術」、「自動音訳技術」、「自動点訳技術」の利用を前提とし、これらの技術を実行的・実用的に大学教育に導入するAICTクラウドシステムを開発・提案するとともに、大学で行われる実際の授業や支援に導入し、実践研究・事例研究を行い、AICTクラウドを基盤とした教育支援のAD理論を提案することを目指して、25年度は、①「AICTクラウドシステム」の基盤整備②「リスピーク方式による要約口述筆記法 」の支援システムおよびガイドラインの試験的作成③「AICTに最適化された教授法・ 教材のAD 」支援システムおよびガイドラインの試験的作成④「AICT活用を前提とした教授法・教材」の特性分析を行った。①②③に関しては、wordpressをCMSとして活用し、学内のホスティングサーバー上に支援システムを構築し、運用実験と課題整理を行った。②③のガイドラインを試験的に作成し②のガイドラインに関しては、運用実験において適用し課題整理に活用した。④に関しては、教授法・教材に応じて必要となる支援者の育成と活用について広島大学の事例分析を行い、AICTクラウドと支援者の関係性について課題整理を行った。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、概ね、25年度を基盤整備と課題整理、26年度を分析の年度と考えて計画を立てている。25年度は、計画にのっとって基盤整備と課題整理を行うことができ、26年度の分析のための準備ができた。モニタリングに関しては、25年度は十分に実施することができなかったが、モニタリングに関する課題整理も行うことができたため、「概ね順調に進展している」と評価した。
25年度の研究により、支援システム上の課題がいくつか明らかになった。課題の修正に関しては、既存のシステムの活用や市販製品の導入を含めて広く検討し、9月を目途に修正を行い、10月からモニタリング調査を行いたい。また、人的支援とAICTクラウド活用に関する数値シミュレーションとモニタリング調査を合わせて評価を行い、「AICT利活用に最適化された教授法・教材のADガイドライン」を作成するとともに、これらの結果を踏まえて、「AICT利活用を前提とした教育支援方法のAD理論」の提案を行いたい。
時間的制約により、当初予定していたモニタリングおよび打ち合わせを回避し、基盤整備を重点的におこなったこと、AICT支援ツールのバージョンアップを待ったことにより、予定額との差額が生じた。当初計画に沿って、AICT支援ツールの購入およびモニタリング謝金にあてるとともに、打ち合わせ・調査等に係る旅費として使用する予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
総合保健科学
巻: 130 ページ: 75-82
巻: 130 ページ: 83-91