平成25年度には,器具を含めて化学実験の環境を整備した後に,実験操作する手と実験器具のキャプチャのために,手と実験器具にマーカーを添付し,ARの技術を応用して,動きのキャプチャを行った.さらに,操作(動作)データの美化アルゴリズムの開発に取り組み,様々な美化の手法の選択肢を検討した. 平成26年度には,前年度の知見から,操作者は,「ビーカーを三脚の上に乗せた」や「フラスコを振った」といった意味のある動作を順に実行することによって実験を遂行するものと考え,その意味のある動作(単位動作)を主に器具の動きから抽出することを考えた.実験器具等にマーカーを貼付することにより,20種類の単位動作を識別できるようにし,その識別した単位動作を順に3Dアニメーション化することにより,雑音を排除した単純な実験アニメーションを生成することができた.また,キャプチャが困難な動きに対しても,単位動作を挿入・削除することにより,一種の編集を可能にした.これによって,直接操作により実験アニメーションの生成が可能であることが示された. 平成27年度には,当初液体や固体(粉末)などのキャプチャを検討したが,計算機環境の安全性や安定したキャプチャなどの面で困難であるとの結論に達し,他の対話デバイスを併用して直接入力する方針に変更した.加えて,動作の識別や美化の改良を進めた. 当初は,プロトタイプシステムを実現し実際にアニメーションコンテンツを作成する予定であったが,研究代表者の体調等の問題により,システムは完成に至らなかった.今後は,現有の資源を利用して,プロトタイプの実現から実験までを引き続き進める.
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