研究課題/領域番号 |
25560127
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
飯田 香緒里 東京医科歯科大学, 研究・産学連携推進機構、産学連携研究センター, 教授 (90570755)
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研究分担者 |
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30232325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 技術流出 / 知的財産 / 営業秘密 / 産学連携 / 流動化 / 職務発明 / アカデミア |
研究概要 |
産学連携活動や国際共同研究の増加に伴い、大学・公的研究機関等(以下「アカデミア」)におい て、技術流出の防止を図る必要性・重要性が増している。イノベーションの源泉と高く期待されるアカデミアの研究現場には、高度な知見に裏付けされた貴重なノウハウ・情報といった有形無 形の多様な形態を呈した技術が多数存在する。価値の高い研究を継続的に推進し、知的財産を創出し、実用化につなぐためには、研究の核となる技術の無差別的流出の回避は必須といえる。現在アカデミアは、研究のグローバル化や情報化が急速に進み、人材や情報の交が活発化している。我が国の大学等の研究現場において、保護すべき技術を明確にし、それらの流出防止方策の提案と普及に取組む。 そのような中で、研究組織が所属する機関(札幌医科大学・三重大学・東京医科歯科大学)で実際採られている技術流出防止方法及び体制について、検証を行った。具体的には、研究室内で学生も含め行われている、秘密保持誓約書等の契約書による管理体制、研究者異動に伴い大学及び異動する研究者間での定め(契約含む)、その他産学連携等外部との交流が盛んな研究室がおいているルール等の情報を収集した上で、検証を開始した。更に、特許法の対象となる職務発明について、我が国の現行法では二重譲渡の危険性が存在する危険性が指摘されている時勢を踏まえ、法改正の必要性、技術流出を未然に防ぐための制度設計についても、議論を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の計画として、当初全国アカデミアの技術流出防止策についての調査を展開する予定であった。しかしながら、アカデミアにおいて、技術流出への意識は薄く、それに伴う管理も整備できていないことが、明らかになった。したがって、計画を若干変更し、産学連携・知的財産管理体制が進んでいる研究組織(札幌医科大学、三重大学、東京医科歯科大学)の状況を収集し分析を行うという軌道修正を行ったことから、やや計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
アカデミアにおいて、保護の対象となり得る「技術」や、技術流出が生じる場面を類型化する。次に、技術の種類や技術流出が生じる場面に応じた防止措置の検討を実施する。具体的には産業界や海外のアカデミア導入している、秘密保持契約や競業避止義務の手法を検証し参考にしつつ、アカデミア教育研究の公益性や自由闊達な研究環境に適した措置の創出を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
技術流出防止策を有する国内外の先進的なアカデミアの研究現場及び技術移転部門へヒアリング調査等行うための出張費として利用する。また、調査の結果として導きだされる具体的施策について、法律的解釈上の誤りがないか等を判断するために、弁護士等の専門家の意見を求めることに利用する。 欧州(イタリア)のローマ大学の協力を得て、同大学の研究分野が実際ラボ内で行っている情報流出管理方法、更に同大学の技術移転部門(産学連携担当)が実施している情報管理体制について、ヒアリングを行うために、同大学を出張するために、研究費を利用する。 営業秘密管理、技術流出防止を専門とした弁護士を有するTRI法律事務所に、アカデミアにおける技術流出防止策について、評価を求めることを予定していることから、研究費を利用する予定である。
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