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2013 年度 実施状況報告書

火星表面の地形を実験室で再現する

研究課題

研究課題/領域番号 25560143
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関筑波大学

研究代表者

松岡 憲知  筑波大学, 生命環境系, 教授 (10209512)

研究分担者 八反地 剛  筑波大学, 生命環境系, 講師 (00418625)
池田 敦  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60431657)
関口 智寛  筑波大学, 生命環境系, 講師 (90400647)
PARKNER Thomas  筑波大学, 生命環境系, 助教 (90589996)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード火星 / 地形 / 室内実験 / 惑星探査 / リモートセンシング
研究概要

筑波大学地形学研究室が管理する低温恒温室、小型低温恒温恒湿槽、二方向振動板装置を利用した3種の地形モデル実験を行った。
1.低温乾燥下での岩石の風化実験:火星の土壌中に硫酸塩の存在が広く認められることから、低温恒温恒湿室で、低温・乾燥環境下での岩石試料の塩類風化実験を行った。岩石や塩の種類による、低温下での岩石の凍結温度や破壊力の差が判明した。
2.淘汰構造土の平面形の発達に関する実験:火星表面に見られる礫の縦列配置や環状配置の成因を調べるために、低温実験室内で霜柱を発生させて礫の運動を解析した。実験条件に関しては、北極圏周氷河地域での構造土地形の観測結果に基づいて設定した。礫の大きさ、被覆率、斜面傾斜を変数とする実験により、礫が淘汰されるプロセスと形状の違いが判明した。
3.二方向振動板によるベッドフォーム形成:火星に認められる多様な砂丘状地形について再現実験を行った。砂丘状地形の形状・規模に対する流向・流速の多様性や構成物質の影響に着目し、水中での二方向振動板実験を行い、各種砂丘の形成条件を調べた。
また、火星の周氷河地形と永久凍土に関する従来の研究を総括し、研究課題を整理した。火星の地表面における地形プロセス全般に関して、研究成果と今後の研究課題をまとめた地学雑誌の特集号を企画し、編集を開始した。国際惑星地形学研究グループがSpringer社から発行する予定の「惑星地形学辞典」において、凍土現象に関する執筆とレビューを行い、火星の地形学の進展に貢献した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予定していた3実験、風化実験、構造土実験、砂丘実験を全て開始した。いずれも順調に進行し、塩類が凍結に及ぼす影響や,緩斜面での礫の移動プロセス、ベッドフォームの形成条件に関して新知見が得られた。風化実験や構造土実験結果に関して、2014年春の学会発表が決まっており、結果の一部について論文執筆も進んでいる。しかし、今年度予定していた研究のうち、火星の微小スケール地形に関する形態分析については、予算不足により画像の入手や解析ソフトウェアの導入が遅れたため、予察的な段階にとどまった。
また、地学雑誌に提案した「火星表面の地形プロセス」特集号の企画が採用され、編集が始まった点、および惑星地形学辞典の執筆やレビューに貢献した点は当初の予定になかった新しい試みであり、従来になかったまとまった成果体が期待できる。

今後の研究の推進方策

平成25年度に開始した実験を継続・発展させる。低温乾燥下での岩石の風化実験については、最近導入した高機能の記録装置を駆使して測定項目と試料数を増やし、長期間にわたり実験を継続し、定期的に試料の物性変化をチェックする。二方向振動板による砂丘形成実験では、風向・風速の多様性、構成物質の粒径・密度・存在量を変数として、砂丘の形状や規模への影響を調べる。構造土については,より現場の条件に近づけるために、礫径を混在させた実験や傾斜を変数とする実験を集中的に実施する。
新規の試みとして、低温乾燥下での融解土の変形とガリー侵食に関する実験を開始する。凍土の融解で発生するソリフラクション・ローブや水流によるガリー地形は、現在の火星の環境下では理解が困難な地形の代表格である。融解土の流動が発生しうる限界水分条件、塩分の付加による土の凍結点降下を調べて、火星で融解による土の変形・侵食が起こりうる温度・水分条件を探る。火星の微小スケール地形に関して、火星表面に発達する地形情報の分析を行い、データベース化および実験室で再現された地形現象との比較を進める。

次年度の研究費の使用計画

差額分の支払日は次年度だが、すでに執行済みである。
執行済み。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Cold region geomorphology in Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka, N.
    • 雑誌名

      Geographical Review of Japan

      巻: 86B ページ: 22-32

    • DOI

      10.4157/geogrevjapanb.86.22

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ice- and soil-wedge dynamics in the Kapp Linne area, Svalbard, investigated by two and three dimensional ground-penetrating radar and ground thermal and acceleration regimes2013

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, T., Matsuoka, N. and Christiansen, H.H.
    • 雑誌名

      Permafrost and Periglacial Processes

      巻: 24 ページ: 39-55

    • DOI

      10.1111/j.1468-0459.2012.00470.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 岩石氷河のかたち2013

    • 著者名/発表者名
      池田 敦
    • 雑誌名

      雪氷

      巻: 75 ページ: 315-324

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 岩石氷河の成因2013

    • 著者名/発表者名
      池田 敦
    • 雑誌名

      雪氷

      巻: 75 ページ: 325-342

    • 査読あり
  • [学会発表] Laboratory-produced sorted patterned ground by repeated frost heaving

    • 著者名/発表者名
      Yamagishi, C. and Matsuoka, N.
    • 学会等名
      ヨーロッパ地球科学連合総会2013
    • 発表場所
      ウィーン(オーストリア)
  • [学会発表] 火星の周氷河的地形-地球の類似地形との比較-

    • 著者名/発表者名
      松岡憲知
    • 学会等名
      第16回凍土のモニタリングと変動に関する研究集会
    • 発表場所
      北海道大学
  • [学会発表] 寒冷環境における塩類風化実験 ―凍結破砕作用におよぼす溶解塩の影響―

    • 著者名/発表者名
      佐藤昌人・八反地剛
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2014年大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
  • [図書] Encyclopedia of Planetary Landforms (periglacial landforms, rock glacier/debris-covered glacier)2014

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka, N. (分担執筆)
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2015-05-28  

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