研究課題/領域番号 |
25560159
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
徳永 修一 香川高等専門学校, 情報工学科, 教授 (10197874)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 伝統工芸 / 動作分析 / 技能伝承 |
研究実績の概要 |
日本の伝統工芸は多くの経験と長期間の修行によって初めて体得でき,短期間では身につけいることは難しい。本研究の目的は,技能作業の過程(対象物の加工などによる変化)を立体映像で保存を行い,技能作業を道具の取り扱いの測定,分析通して,技能の伝承を円滑に行えるように支援することである。具体的な作業対象として日本の伝統工芸の彫刻作業について,技能の分析のために技能者の彫刻刀の扱い方(動かし方)を測定するシステム(技能作業計測システム)および対象物への加工作業などによる対象物の状態の変化の途中経過を立体視映像を記録するステレオ魚眼カメラシステムの開発が必要である。 本年度は,彫刻刀の3次元位置を測定するために,開発したサンプリング周期100HZで測定できる道具の位置を測定する技能作業計測装置による測定と,超小型なフィルム状の圧力センサを用いた作業者の道具を持つ力(把持力)の測定を同時に行った。測定結果より,左手拇指の圧力の測定値から彫刻している状態と彫刻していない状態を判別することができ,実際に材料を彫刻している彫刻刀の姿勢を抽出し,作業をディジタルデータ化することができた。また,ディジタルデータ化した彫刻刀の姿勢および彫刻刀にかかる圧力より,ディスプレイ画面上の仮想3次元空間内に任意の視点で連続的に表示するプログラムを作成した。このプログラムを用いて作業ディジタルデータから仮想3次元空間内に作業者の視点における彫刻作業の再現(仮想の彫刻刀と同時に把持力の表示)が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試作した装置を用いて彫刻作業における彫刻刀の扱い方(動かし方と力の入れ方)を測定し,その測定結果から技能作業の過程を分析し,手拇指の圧力の測定値から彫刻している状態と彫刻していない状態との判別ができることがわかった。また,ディジタルデータ化した彫刻刀の姿勢および彫刻刀にかかる圧力より,ディスプレイ画面上の仮想3次元空間内に任意の視点で連続的な表示(作業の再現)を可能としていることから,研究内容全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
試作したロボットアーム型の3次元位置測定システムを用いて彫刻作業における熟練技能者の彫刻刀の3次元位置を用いて測定したディジタルデータを技能者の彫刻技能としてデータベース化するため,データ収集(測定実験)を行う。そして,ステレオ魚眼カメラを用いた作業経過の立体視映像を記録と正像化が容易に出来るできるシステムの開発を推進する。また,彫刻した内容(絵柄)を再現するためには,彫刻材料を動かしながら彫刻作業を行っていることから彫刻材料の位置の変化と彫刻刀の動きとを同時に測定をを行う必要があることから彫刻材料の位置変化の測定方法についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は,作業者が扱う彫刻刀の3次元位置測定のためのロボットアーム型の測定装置の試作2号機が不調のため,測定実験のために予定していた熟練技能者等の被験者への謝金を支出していないためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の使用計画は,試作したロボットアーム型の3次元位置測定システムの2号機の調整を行い,彫刻作業実験における被験者への謝金として使用する予定である。
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