研究課題/領域番号 |
25560161
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川崎 昭如 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (00401696)
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研究分担者 |
目黒 公郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40222343)
ヘンリー マイケル・ワード 北海道大学, 大学院工学研究院, 助教 (80586371)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外国人 / 災害情報 / 首都直下地震 |
研究概要 |
東日本大震災の発生直後に大量の在住外国人が国内外へ退避したことで、我が国の社会経済活動に広範な影響がでた。今後発生が懸念される首都直下地震において、外国人の被災規模はどの程度であろうか。災害直後の混乱期に、外国人の意思決定に必要な情報とその手段は何であろうか。国内の外国人へ適切に災害情報を伝達するにはどのようなシステムが必要であろうか。本調査研究の目的はこれらの問題解決に資する基礎資料の提示である。 ① 震災時の外国人への対応に関する文献収集とヒアリング調査 過去の大震災時の外国人対応問題に関する文献収集とヒアリング調査を行った。具体的には阪神淡路大震(1995)や東日本大震災(2011)を対象として、震災後の外国人への災害情報発信に関する<発信者側>と<受信者側>の問題点の洗い出しを行った。以下の期間に対するヒアリング調査を実施した。 [東北地方]仙台市国際交流協会、東北大学(国際交流課・留学生課)、[関東地方] 東京大学留学生センター、NHK放送文化研究所 [東海地方] NHK 名古屋(以前、東海地震を対象とした外国人調査を実施)、 [関西地方] 神戸市長田区FMわぃわぃ(多文化プロキューブ)、神戸大学附属図書館、人と防災未来センター資料室、特定非営利活動法人 多文化共生センター大阪 ② 外国人を対象とした震災後の防災情報提供に関するワークショップとアンケート調査 観光客などの短期滞在者と長期在住者の2 つのグループを対象とする。首都直下地震後の状況を想像してもらい、想定される震災後の行動とその意思決定に必要な情報、それを入手する経路(メディア)、利用する言語など、外国人の視点から見た首都直下地震後に直面する問題とその問題解決のための情報提供のあり方を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね申請書の計画通りに研究を進めることができ、査読付き論文を学術誌に掲載するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
① 災害情報ニーズにもとづく外国人の類型化分析 国籍、性別、職業、滞在期間、家族形態、言語能力、居住地などの外国人の特性を考慮して、災害情報ニーズの観点から、首都圏の外国人の類型化を行う。例えば、在住外国人の場合、駐在員や留学生、日本企業での就職組などのアッパークラス外国人と、農業や漁業の研修生、結婚移民女性など層の外国人では、利用可能な言語やアクセス可能なメディアが異なる。これらの情報受信者の類型化とその特性ごとの情報ニーズを明らかにする。 ② 首都直下地震後の外国人への災害情報提供システムのプロトタイプシステムの開発 NHK 放送文化研究所と共同で、ネットとテレビのメディア融合時代の外国人への防災情報の伝え方を検討する。東日本大震災で活用されたソーシャルメディアをさらに進めて、テレビやラジオなどの従来型のメディアに加えて、GIS など、新しいツールも使った災害情報発信の可能性を探る。GIS(地理情報システム)を活用した地図という一種の共通言語によって、外国人への情報提供にもつながる手法を検討する。このようなメディア融合時代のより多角的な災害情報発信の方法を探ることは、日本人への情報伝達を高める意味でも意義がある。同時に、情報通信技術を活用したプッシュ型な情報提供だけでなく、電話やコミュニティ間の口コミといった人手を介した双方向性の高い伝達手法など、外国人コミュニティの特性に応じて複数の媒体を活用した情報提供システムも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に、本調査で必要とする大量の社会統計データ、地理空間データセットの効率的格納のための大規模データベース管理ソフトウェアの購入を予定していたが、購入を見送った。 今年度も本調査で必要な社会統計データと地理空間データセットの継続的に収集する予定であるので、その効率的格納を目的として、大規模データベース管理ソフトウェアを購入する予定である。
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