研究課題/領域番号 |
25560165
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60227238)
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研究分担者 |
萩島 理 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60294980)
池谷 直樹 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (70628213)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 進化ゲーム / パンデミック / 複雑ネットワーク |
研究概要 |
先制的ワクチン接種の社会的受容性進化ゲームの枠組みの基礎としてのネットワーク互恵 複雑社会ネットワーク上を伝搬するepidemiologyと自らコストを払って予防接種する/しないの意思決定を周囲もしくは社会をリファレンスしながら適応的に進化させるダイナミクスを併存させるモデルを構築するには,協調の創発機構としてのネットワーク互恵に関する基礎検討が必須である.ここでは,進化ゲームのテンプレートして頻用される2×2ゲームを適用,ネットワーク互恵の基礎メカニズムを力学的に解明し,その素過程の解明の見込みを得た. インフルエンザ流行と予防接種ダイナミクスの統合進化ゲームモデルの理論構成 流行シーズンの推移とともにウィルスの突然変異によって一部のエージェントに対してワクチンが機能しなくなるダイナミクスを考慮した修正SIR(SIR’)モデルを複雑ネットワーク上に構成[感染ダイナミクスモデル].感染ダイナミクスの結果,1流行期終了後に接種する/しないの戦略見直しを行う[戦略ダイナミクスモデル].両サブモデルを相互浸透に接続することで,社会関係により得る便益とインフルエンザ罹患及び予防接種による負便益とを組み込み,予防接種する/しないを戦略とするとする進化ゲームを理論構成し,系統的の数値実験を行った.その結果,基板ネットワークのtopologyによって,予防接種率(通常の2×2ゲームであれば協調率に相当する)と最終感染者サイズに大きな影響を及ぼすことがわかった.また,エージェントが予防接種に関する社会的協調行動を模倣を通じて適応させていくプロセスでは,topology上の隣人の影響を受け易いか,社会全体の動向に影響され易いかで特性が大きく異なることがわかった.後者は公衆衛生-社会物理学観点に立つとメディアの積極的利用による先制的ワクチン接種による集団免疫構築の可能性を示唆するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していたサブテーマのミッションは全て取りかかり,一部その結に至っていない部分もあるが,応用研究に関しては年度を先行して進捗している部分もあるので,上記の自己評価が妥当であると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
年度計画に従い,モデルの理論構成と数値実験とを併走して推進し,当初の全体計画を達成できるように進める予定.
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次年度の研究費の使用計画 |
大型計算機での大規模数値実験に代わってクラスター化WSの導入する,研究発表の為の旅費,論文校正やPLoS One掲載料が次年度に発生することが想定されるために計画的に拘置した. 研究最終年度では,研究発表の為の旅費,論文校正やPLoS One掲載料の発生が予想されること,また,わってクラスター化WSの導入を計画している.
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