研究課題
本研究は、「特殊な学校(防災教育先進校)」ではない一般の小中学校の教育現場において、これまで「総合的な学習の時間」での1~数時限を単元とする1テーマや、防災訓練・避難訓練・消火訓練などの「単発のイベント」としてしか扱われなかった「防災教育」について、防災学の立場から心理学・教育学の学習理論・技法を用い、防災専門家の介入なしに教科学習の中で体系的に学ぶような「単元構想図(カリキュラム)・指導案(1時限の授業進行案)」を提案する。本年度は、これまで開発してきた地震・竜巻の防災教育プログラムについて、インストラクショナル・デザイン理論におけるADDIEプロセス(分析→設計→開発→実施→評価のスパイラルアップによってプログラムの向上を図っていくプロセス)の考え方に従って、新たな小中学校での実証によるプログラムの効果測定とプログラムの更新を行うとともに、火山防災教育の課題を踏まえて、子どもたちが火山噴火を正しく理解し、適切な対応行動を身に付けるための体系的な火山防災教育プログラムの開発と検証を行った。対象としたのは栃木県の那須岳火山地域の児童生徒であり、児童生徒および保護者を対象としたアンケートにおいて那須岳の噴火に対する防災意識の現状と課題を明らかにし、プログラムを開発し実践によって検証を行った。また検証過程において、火山防災教育プログラムと地震防災教育プログラムを並行して行うことによって、児童生徒の防災意識・行動にどのような変化が見られるかの効果測定を行った。特に分析結果から、火山防災教育プログラムによる学習効果は、火山イベントと地震イベントによって、当初習得した学習効果が一定レベルで保持されていることを明らかにした。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Journal of Disaster Research
巻: Vol.12, No.1 ページ: 42-56
巻: Vol.12, No.1 ページ: 17-41
地域安全学会論文集
巻: No.29 ページ: 175-184