研究課題/領域番号 |
25560168
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
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研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00224791)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サリン事件 / 長期間の健康不安 / 長期間の社会生活不安 / 社会安全システム |
研究概要 |
オウム真理教が引き起こした地下鉄サリン事件をはじめとする一連の事件が発生してから約20年が経過する。被害者の心身のケアを含めた活動を2000年から行っているNPO法人リカバリー・サポート・センター(R・S・C)が実施している検診は毎年10月から11月の土曜日、日曜日に3会場で5回行われている。 今年度は、この研究の初年度にあたるので、R・S・Cが所有しているデータ入力とデータベースの構築を進めた。なお、データ構築はR・S・C理事会の承認を得て、R・S・Cの協力の基に実施している。同時に、2013年に実施した検診のお知らせに対応し、返信した288名(男性173名、女性115名)の返信結果を基に、被害者の心身の状況やR・S・Cが実施している検診への期待度等を、検診のお知らせに記されている、IES-R(出来事インパクト尺度調査)、聖路加式サリン事件被害者後遺症調査票、自由回答欄への記入内容等を用いてまとめた。その結果、R・S・Cが実施している検診は、心の拠り所として存在意義を見出している被害者が多くみられた。さらに、事件後一貫した自覚症状として、視力低下、目の異物感や焦点が合わない等、目の症状への訴えが多くの被害者に認められている。また、今もって地下鉄に乗ることへのためらい等が訴えとしてあり、さらに、自覚症状を加齢による身体の変化と捉える傾向も見られるようになった。以上、サリン事件等による健康被害の心身の影響を長期的な視点からみたが、約20年が経過する現在においても、事件による身体不調を抱え、さらに心の不安を持ち続けて生活していることが捉えられた。そして被害者の健康不安に答えるべき機関としてのR・S・Cの存在意義は大きいと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画は、データベース構築のためのパソコンへのデータ入力である。過去のデータはほぼ入力が終了し、現在は入力データのチェックを行っている。また、2013年の検診結果から被害者の健康不安と検診への期待感等を抽出できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、長期的な健康不安や社会生活不安の変化を時系列で解析する。さらに、R・S・Cが実施している検診への期待感の時系列変化を捉えて、サリン事件だけではなく、今後発生する種々の突発的な事件に巻き込まれた被害者のケアを行う参考資料として、ケアを実施する側及びケアを受ける側の問題点等を抽出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、データ入力を主たる目的で進めた。データ入力は入力専門者と雇用契約を結び実施した。概ねの概算を初年度に打ち出し、その差額が年度末に残った。 2年目以後もデータ入力があるので、再度、雇用契約を結んだ。それに係る概ねの予算に充てる。
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