研究課題/領域番号 |
25560168
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
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研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00224791)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サリン事件 / 健康不安 / 社会生活不安 / 社会安全システム |
研究実績の概要 |
今年度は、研究期間の最終年度にあたるので、2015年3月15日に行われたR・S・C主催のフォーラム、「民間団体ができたこと・できなかったこと」で発表した内容を中心に、2015年に実施した検診結果を含めた、「サリン事件被害者の長期的な健康不安の解析-R・S・C実施の検診結果より-」の報告書を作成し、R・S・Cに登録されている被害者の約1,300名に送付した。この報告書に記した被害者の後遺症として、2005年(10年目)の症状アンケートにおいて回答者の半数以上が症状を訴えた心身の症状と眼の症状について、2015年(20年目)の検診、すなわち10年経過の変化を追った。 (1)心身の自覚症状の訴え:2005年の心身の症状では、「体がだるい」「体が疲れやすい」「体が緊張している」「頭痛がする」「忘れっぽくなった」の5項目で半数以上がその症状を訴えていたが、2015年においては、「体が疲れやすい」のみで半数以上の被害者で訴えがあり、10年経過しても自覚症状が残っていた。 (2)眼の症状の訴え:眼の症状では、「目が疲れやすい」「目がかすんで見えにくくなった」「遠くが見えにくくなった」「近くが見えにくくなった」「焦点が合わせにくくなった」の5項目で2015年においても半数以上が訴えていた。眼の調節機能が回復しないことが、サリン事件被害者の特徴として挙げられており、これらの持続した訴えに関して、長年、サリン被害者の眼科検診を担当している若倉雅登先生(井上眼科病院名誉院長)は、「サリン被害者の慢性期の神経眼科所見として、中枢高次障害が遺残しているものがあると考えられる。」と述べている。 20年以上が経過する現在においても、様々な不定愁訴が持続しているが、最近は、「年のせいかもしれないが~」という記述が目立つようになっている。
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