研究課題/領域番号 |
25560170
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
宮里 心一 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (60302949)
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研究分担者 |
斉藤 博嗣 金沢工業大学, 工学部, 講師 (70367457)
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 講師 (40597689)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会基盤 / 維持管理 / 補修 / 付着性 / 絶縁性 / エポキシ樹脂 / フィラー |
研究実績の概要 |
本研究では、老朽化した土木構造物を安全な社会基盤へ補修するため、土木材料、機械材料および電気電子材料の知見と知恵を統合して、母材と断面修復材を強固かつ絶縁にて接着する材料を開発してきた。2年度目となる平成26年度には、フィラーを添加した材料を試作し、その接合性を機械材料の観点から、また絶縁性を電気材料の観点から評価した上で、コンクリートの補修に適用する際の性能を土木材料の観点から評価した。 すなわち、単体として電気抵抗の高いマイカパウダーをフィラーとして混入したエポキシ樹脂を、母材に塗布した上で断面修復材を接着させた供試体を用い、付着強度および電気抵抗と腐食電流を測定した。 付着強度の評価概要は、次の通りである。はじめに、基盤となるコンクリート平板の表面にフィラーを含有したエポキシ樹脂を塗布し、その後にモルタルを打ち継いだ。硬化後、JIS A 6909を参考に付着強度を測定した。その結果、エポキシ樹脂を用いずに打ち継いだケースと比較して、付着強度は若干低下したが、破壊は母材側で生じており、実用上は同等として扱えると判断した。 また、補修後の腐食抑制効果の評価概要は、次の通りである。ここでは、鉄筋が埋設された、多量の塩分を含有する母材部と、塩分を含有しない断面修復部を、フィラーを含有したエポキシ樹脂を用いて打ち継いだ。この供試体を4週間に亘り湿潤気中で暴露した後、母材と断面修復材の内部に埋設された鉄筋間の電気抵抗および腐食電流を測定した。その結果、フィラーを含有したエポキシ樹脂を用いて打ち継いだ場合に、エポキシ樹脂を用いずに打ち継いだ場合と比較して、電気抵抗は1.5倍に増加した。また、腐食電流は3分の2に低減した。 以上から、本研究で開発したフィラー分散型樹脂は、コンクリートを補修する際の一つの高機能材料となり得ると考える。
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