強震動予測式(Ground Motion Prediction Equation [GMPE])は震源位置・規模から簡便に強震動指標を推定できるため,多くの予測式が構築されてきているが,複数地震に対する複数観測点の記録を用いた回帰分析により得られたものであり,震源・パスの地域性の影響や地盤増幅特性が依然としてその精度を下げている. H25年度には個別の観測点に注目し,各観測点において様々なタイプ・規模・距離の地震に対しての検討を行い,各観測点(Single Station)での擬似速度応答スペクトルを対象とした単点強震動予測式GMPE=SS-GMPEの試作を行った.H26年度はSS-GMPEの構築の可能性の検討を最重要事項とし,東北日本をターゲットとして,特定の地震タイプである,三陸沖アウターライズ地震を対象として,高密度観測記録を収集しデータベース化して,モーメントマグニチュードMwをパラメターとしてSS-GMPEを作成した. H27年度は前年度までに作成し論文化したSS-GMPEを用いた他タイプの地震でへの検討,および,構築に用いた地域における様々なタイプの地震における短周期の励起特性を検討し,地震タイプ間,震源深さの関係等を比較し,アウターライズ地震以外の地震でのSS-GMPEの作成の可能性に関しての基礎的な検討を開始した.それにより,プレート境界地震と比較して,スラブ内地震・アウターライズ地震の短周期励起特性が強いことを示す事が理解でき,他タイプの地震におけるSS-GMPE作成の基礎材料を収集できた. 加えて,研究代表者が管理するネパール.カトマンズ盆地の強震観測網で得られた2015年ネパール・ゴルカ地震記録に関して,広帯域での励起特性を探り,プレート境界直上の観測点におけるSS-GMPE作成の可能性を探った.
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