本研究では、渦力学的視点から火災旋風の構造やメカニズムの解明を試みた。手法には数値流体力学(CFD)的手法を用いた。結果として、火災旋風内部に内側のラセン状の渦線と外側のラセン状の渦線からなる2重構造が見出され、その2重構造の隙間領域に燃焼ガスの高速上昇流が存在することが分かった。このラセン状の渦線の2重構造とその誘起速度による高速上昇流形成メカニズムは、燃焼ガスを竜巻のような細長い円筒領域内に閉じ込めながら地上から上空へ高速輸送することが可能であり、火災旋風の発生・維持のために本質的に重要な構造とメカニズムであるといえる。
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