研究課題/領域番号 |
25560181
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (50372553)
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研究分担者 |
末峯 章 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00109092)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地盤災害 / 地震動 / すべり面強度 / 岩石破壊 / せん断挙動 |
研究概要 |
今まで解明されていない高圧・高速せん断条件下での岩石のせん断抵抗の低下機構を新たな切り口から調べて解明し,より強い地震および大規模地すべりの長距離運動を引き起こす真相を探るために,H25年度には,高圧・高速リングせん断試験器を用い、異なる破砕特性を有する岩石,岩塩およびガラスビーズに対して異なる応力・せん断速度下でのせん断実験を実施した.その結果,①四川大地震時に発生した大規模地すべりから採取した石灰岩を用いた高速・高圧せん断試験においては,乾燥状態でも石灰岩のせん断抵抗がせん断速度の増大に伴って大幅に低下しうること,②岩塩を用いた圧密-せん断-再圧密-再せん断といった繰り返しせん断試験を行い,各せん断過程において得られたピーク強度と残留強度には大きな変動は無かったが,ピーク強度から残留強度になるまでのせん断距離が短くなる,すなわち,ピーク強度から残留強度になるまでの摩擦による熱エネルギーが小さくなること,③異なる粒径を持つガラスビーズに対するせん断試験においては,せん断速度が遅い時にはスティックスリップ現象が発生したが,せん断速度の増加に伴って,このスティックスリップ過程におけるせん断抵抗の変化が小さくなること,が分かった.また,断層ガウジのせん断挙動を調べるため,中央構造線断層帯およびニュージーランドアルパイン断層帯から断層ガウジを採取することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 計画した研究活動が全部順調に実施された. ② 室内実験も順調に実施され,多くの実験成果が得られた. ③ 建設工事により露出した中央構造線の露頭から断層ガウジを採取することができた.また,ニュージーランド地質・核科学研究所(GNS)の研究協力により,アルパイン断層から断層ガウジをも採取することができた. ④ 岩石のせん断実験に伴う高周波数の震動を計測するシステムを用意できた.
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今後の研究の推進方策 |
① 岩塩を用いたせん断試験におけるせん断ゾーンの内部構造を調べ,岩塩の繰り返しせん断破壊におけるせん断挙動の変化を解明する. ② 岩石のせん断破壊に伴う高周波数の震動を計測し,岩石のせん断抵抗の変化と計測した震動との関係について調べる. ③ 中央構造線およびアルパイン断層から採取した断層ガウジを用いて,せん断実験を行い,そのせん断挙動と断層破壊および地震動の関係について調べる.
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次年度の研究費の使用計画 |
岩石のせん断破壊に伴う高周波数の震動を検出するために新たなせん断箱の加工・購入には間に合わなかった. 岩石のせん断に伴う高周波数の震動を検出するために,現有のリングせん断箱に穴を開けて,高周波数の震動計測に適用できたセンサーをせん断箱に挿入し,直接その震動を計測する.前年度残った経費をこのせん断箱の加工費用に当たる.
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