研究課題/領域番号 |
25560189
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
羽石 秀昭 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20228521)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / 画像解析 / 病理画像 / MR画像 / 画像融合 |
研究実績の概要 |
脳腫瘍の診断において,腫瘍の組織構造や細胞情報とMR信号との関係性を解明するため,同一領域の病理組織とMR画像を比較する必要がある.病理標本の作製段階で,物理的なサイズの問題から標本を小さいブロックに分けた上で薄切し病理画像を取得することになるが,空間的に広範囲の情報を持つMRIと対応付けるために,これらのばらばらな病理画像を連結して1枚の大きな病理画像を形成する必要がある.本研究では,脳の断面像である光学的マクロ画像を参照しながら,病理画像群を貼り合せていく技術を考案した.また,精度検証などをきちんと進めるために,ブタの脳を対象に,他施設ではなく代表者らの施設でできるように,ノウハウの蓄積を進めた.結果としてブタの脳を用いて,所望の技術をおおよそ確立することができた. 一方,融合された病理画像とMRI信号とを比較するための技術の構築も必要である.本研究では薄切前の脳の光学像であるマクロ画像を病理画像とMR画像の位置合わせの仲介とすることを想定し,マクロ画像とMR画像の位置合わせを行った.昨年の医用画像工学会では光学像と一致する断面をMR画像全体から探索したため,光学像に類似するMR断面の抽出精度が安定しなかった.そこで今回は3次元的に並べた光学像を使用し,光学像取得位置付近から類似断面を探索した.さらにブタ脳を対象に均等な厚さで脳を切り出す装置を作製した.この結果,おおよそ安定してマクロ画像の輪郭に類似するMR断面を抽出できるようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
病理画像の3次元構築については,独自に病理標本を作れる環境を構築しノウハウを蓄積した点で,当初以上の進展であった.さらに,MR画像との関連付けについては高磁場MRIが必要となるが,近隣の放射線医学総合研究所の高磁場MRIを利用できるよう調整し,現在では必要に応じて撮影が可能となった.これにより十分に研究を進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
病理像と光学的マクロ像を位置合わせするにあたり,空間分解能が大きく異なり,画像特徴なども異なる病理像とマクロ画像とを的確に位置合わせするために,病理像からはテクスチャー特徴を抽出したり,光学的マクロ画像は波長特性を撮影したりなどにより,位置合わせのための工夫を加えていく.病理像とMR画像との対応付けでは,複数の光学的マクロ画像と3次元MRIとを用いて初期位置合わせを行うなど,位置合わせ精度の向上を目指す.
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