研究課題
生体内分解性高分子で生体組織の3次元構造を成形した後に細胞を播種後,生体内に移植し,生体および細胞の再生能によって組織再生を促す再生医療研究は,現実には材料の分解速度と組織再生能のバランスが悪く,これまでに真に成功・完成したと判断できる組織再生の例はほとんどない.高次の複雑構造を有する組織の構築も困難を極めると同時に,さらに分解産物による免疫反応も無視することができず,生体内分解性高分子による組織工学的手法による複雑で大型な臓器の再生医療は実用化の目処すらたっていない.このような背景のもと,脱細胞化組織を用いた再生医療では,心臓,肺,腎臓,肝臓をはじめとする複雑な構造を有する組織の再生に実験動物で成功していると報告されていることから,臨床に最も近いアプローチであるとの期待が高まっている.脱細胞化組織は生体組織の高次構造を人間の力では再現できない部分まで保存した形で医療応用できることから,近年,再生医療の分野で最も注目を集めているアプローチである.本研究グループでは,超高静水圧と界面活性剤処理による脱細胞化子宮を作製し,モデルラットに移植したところ,構築した再生子宮が迅速かつ優れた組織構築能を保有していることを世界にさきがけて証明した(PLOS One 2014, J Clin Invest In press).さらにこれらの組織再生に,生体外で組織に加える刺激が重要な役割を担うこともあらたに発見した(投稿準備中).従って,本研究が,良好な妊孕性を保有する再生子宮パッチの可能性を示唆しているものと考えられた.
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