研究課題
外科手術における麻酔管理においては気管挿管が必須であるが、挿管チューブに由来する物理的・化学的・生物学的刺激は人工呼吸関連肺炎を誘発し、その医療コストは無視できないレベルにある。現存のPVC製挿管チューブに生体親和性の高いポリマーをコーティングすることで上記の刺激を提言させ、人工呼吸関連肺炎のリスクを抑えることは社会的に異議のある取り組みである。前年度までに、X線光電子分光法による表面コート効率、UV/VIS分光法によるチューブ本体からの溶出物の総量をそれぞれ解析・測定したところ、コーティング剤の濃度、コーティング時の積層回数について現実的でバランスのとれたコーティング条件を設定することができた。本年度においては、GC-MS/MS解析と脂溶性物質の溶出に優れる血清を用いての抽出法を組み合わせ、代表的なPVCの可塑剤であるDEHPの溶出量を測定した。適切なMPCコーティングによって、PVCからのDEHP溶出は明らかに抑制されることが明らかとなった。また、同様に血清を溶媒として用いてDEHPを分散・懸濁させたサンプルについて毒性評価を行った結果、濃度依存的に炎症を惹起することが示された。したがって挿管チューブへのMPCコーティングは、物理的刺激の低減のみならず、化学物質に由来する炎症毒性抑制の面でも高機能化に寄与することを示すことができた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Experimental Animals
巻: 64 ページ: in press