研究課題/領域番号 |
25560193
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 真人 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (90301803)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 凍結保存 / 解凍技術 / 電磁波 / 可視化 / 過冷却 / 硝子化 |
研究概要 |
組織工学・再生医療の進歩により組織や臓器が培養技術で作り出せる時代になったが、実際に使う段においては、生きた組織臓器は消費期限が短く作り置きもできない。そこで、本研究は、再生医工学技術で作製した組織・臓器の時間を止め、長期保存を可能にする凍結保存技術への挑戦を目的とした。細胞内外の氷晶形成や組織内の空間的温度差を解消するために、本研究では、電磁波過冷却を使った瞬間凍結や解凍過程を可視化することで凍結法を科学的に検証して有効法発見につなげることを目指した。また、独自に発案した「超速解凍法」も検討する計画である。『再生組織と臓器の長期保存』の新技術の創出と実証を目指した。 1 年目の平成25年度は、①現有の凍結解凍過程を評価するための可視化装置・評価システムの改良、②電磁誘導による過冷却瞬間凍結法の実験を行うための電磁誘導装置を試作、③実験には、組織工学手法により作製したサンプルを試料に用いての凍結・解凍実験の試行、以上の計画のもと、実験を進めた。④超速解凍法の実験テーマは、次年度に回した。 ①現有の凍結解凍過程を評価するための可視化装置・評価システムの改良を行った。温度計測と温度制御ができるシステムにグレードアップした。凍結保護液の重要性を考え、凍結保護液の効果も合わせて検討した。 ②電磁誘導による過冷却瞬間凍結法の実験を行うための電磁誘導装置を試作した。現在はまだ調整中であるが、間もなく実験の準備ができる予定。 ③サンプルに適した組織工学による培養組織を検討した。形状の適した組織作りの手法と、細胞学的評価の手技を習得した。ただし、作製した3次元組織で凍結現象の可視化・観察実験を試行したところ、3次元になると、ピントが合わず、可視化ができないという問題が見つかった。今後の検討事項である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
③培養組織を用いての凍結・解凍実験で、凍結組織の可視化を試行したところ、3次元になると、ピントが合わず、可視化ができないという問題があった。そこで、凍結保存の評価を行うサンプル用の対象組織のサイズや形状を制御する必要から、様々な形状の組織を作る手技、細胞生物学的な評価法の習得に取り組んだ。 また、凍結保護液の重要性も認識し、凍結保護液の検討を新たに加えた。 以上の問題と対策で手間と時間を要し、当初に比べて計画は若干遅れが出ている。しかし、凍結保護液という新しい検討項目を追加したため、その分の成果がプラスしてある。 上記に予想以上に手間がかかったため、④超速解凍技術のテーマは、次年度に回した。
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今後の研究の推進方策 |
2 年目の平成26年度は、1年目に引き続き、①②③を進め、培養組織を用いての凍結・解凍実験を行い、実験例を増やす。実験手技と観測手技を確立し、細胞組織の生存率と凍結法の効果を評価する可視化状のパラメータを見つける。 ④超速解凍法の検討を始める:実験に必要な材料を研究室内で作製し実験に供する。⑤超速解凍実験を行い、効果を判定する。 最後に、本研究のまとめとして、⑥以上の実験を通して、可視化することの意義を総括し、有効な凍結・解凍法の進歩につなげる展望をまとめる。
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