研究課題
ヒトES細胞、ヒトiPS細胞などのヒト多能性幹細胞(以下ヒトES細胞と略する)は体を構成するほぼ全ての細胞腫に分化する能力及び多分化能を保持したまま、培養下で無制限に増殖できる細胞株である。このような細胞の有する特性から、ヒトES細胞を用いた再生医療や創薬スクリーニングへの実現化・実用化が期待されている。本研究課題では、再生医療などに不可欠な均質で正常染色体を有するヒトES細胞の大量調達に関する技術開発を行った。我々は細胞の不均一性が生じる大きな要因として細胞継代時における操作性の問題点に着目し、その解決策としての単一分散培養の重要性を見つけ、適した培養基質の開発を行った。その結果、我々が従来見いだしたラミニン断片であるLM-E8だけではなく、合成ペプチドであるSynthemaxでも同様な効果があること発見した。これらの培養基質でヒトES細胞を長期間培養しても、細胞は正常染色体を保っており、未分化性の維持、分化能に関しても問題がないことを確認した。我々は、大量培養には接着培養よりも3次元培養の方が有利であることに着目し、この系でも単一解離細胞からの培養が可能かどうかの検討を行った。可能であることを示した一方で、安定性に問題があることを見いだした。しかしながら、従来報告された同様な方法を用いても、我々の結果とほぼ同じあるいはそれ以下であり、単一解離した状態からの安定的・効率的な三次元拡大培養法については今後さらに検討を進めて行く必要がある。培地中に含まれるアルブミンの代替機能をもつ化合物の同定に関しては、ヒトES細胞培地の中にはEssential 8, TeSR-E8などのヒトアルブミンを含まない培地が市販されたこと、それらの評価を行い十分な再現性が得たことから、平成26年度のプロジェクトとしては行わなかった。
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