研究課題
まず、ペプチド基質の標的キナーゼによるリン酸化部位に結合する分子プローブ構造として、分子内にリン酸基捕捉部位として2つのグアニジノ基と鉄ーニトリロ3酢酸錯体部位を有する分子を設計し、その合成法を種々検討した、全体をペプチド構造としているためFmoc固相合成法を基本に合成条件を種々検討したところ、目的物を得ることができたが収率が非常に悪かった。これは中間体の溶解度が悪く、ゲル状になってしまうことが原因と考えられた。そこで、新たな合成法を考案したが、目的物は得られたものの単利が困難であった。そこで、新たなプローブシステムとして、量子ドット表面に柔軟なリンカーを介して基質ペプチドを導入し、そのペプチドの末端に蛍光基を配し、さらに量子ドット表面にリン酸基捕捉部位としてグアニジノ基を導入した分子システムを考案して、その合成に成功した。このシステムはリン酸化に伴い、ペプチドが粒子ドットに結合して蛍光エネルギー移動効率に変化が生じること原理としてキナーゼ活性を計測することを考えた。実際、得られたシステムはリン酸化に伴い蛍光強度に変化が見られ、基本的に本システムでキナーゼ活性が評価可能であることが示唆された。また、レポーター遺伝子を利用したキナーゼ活性評価法としてこれまでに開発してきたプロテインキナーゼ応答型遺伝子制御システムにおいて最大の問題点であった遺伝子/制御剤高分子何複合体の血中安定性の悪さを克服するため、制御剤高分子に血清アルブミンのリガンドであるアルキル基を導入する方法を検討した。得られたナノ複合体は、血清アルブミン存在下で可逆的に血清アルブミンが表面に結合してコートすることで、血中条件で安定化が可能であり、凝集、溶血などの現象が完全に抑制でき、血中投与を実現することに成功した。
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